コラム

頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法!効果が期待できる対処法と注意点

頚椎椎間板ヘルニアは、首の痛みやしびれなどの症状を引き起こす疾患です。首の骨と骨の間にある椎間板が、加齢や姿勢の悪さなどによって変形し突出することで、周囲の神経を圧迫し、さまざまな症状が現れます。

頚椎椎間板ヘルニアは、加齢だけではなく、スマートフォンやパソコンの長時間の使用などが原因となり、若い世代にも増加しています。放置すると症状が悪化し、日常生活に大きな支障をきたすおそれもあります。しかし、適切な治療とケアによって、頚椎椎間板ヘルニアの症状の進行を防ぐことが期待できます。

この記事では、頚椎椎間板ヘルニアの原因や代表的な症状、痛みや不快感を和らげる4つの方法について解説します。首に違和感のある方は、自身の体のサインに気づき、早期発見・早期治療に役立ててください。

当院では、頚椎椎間板ヘルニアをはじめとした整形外科疾患に対し、丁寧な診察とわかりやすい説明を心がけています。不安な症状がある方も安心してご相談いただけるよう、以下の記事で診察の流れや受付方法を詳しくまとめています。
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頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる4つの方法

頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法について、以下の4つを解説します。

  • 保存療法:薬物療法、注射、リハビリテーション
  • 手術療法:椎間板ヘルニア摘出術、脊椎固定術
  • 家庭でできる対処法:安静、冷却、温熱療法、軽いストレッチ
  • 日常生活での注意点

それぞれの特徴やメリット・デメリット、家庭でできるケアなどもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

保存療法:薬物療法、注射、リハビリテーション

保存療法とは、薬や注射、リハビリテーションなどによって症状の改善を目指す治療法です。多くの場合、頚椎椎間板ヘルニアの初期治療として選択されます。保存療法の種類と内容について下記の表にまとめました。

保存療法の種類 目的 内容
薬物療法 痛みや炎症の軽減 痛みや炎症を抑える薬、筋肉の緊張を和らげる薬を使用
神経ブロック注射 強い痛みの緩和 強い痛みの緩和
リハビリテーション 症状の改善と再発防止 症状の改善と再発予防

手術療法:椎間板ヘルニア摘出術、脊椎固定術

保存療法で効果が得られない場合や、症状が重い場合には、手術療法が検討されます。手術には、飛び出した椎間板を取り除く椎間板ヘルニア摘出術や、不安定な脊椎を固定する脊椎固定術などがあります。

手術療法は症状の改善が期待される場合がある一方で、入院期間や手術時間、出血量が多くなる傾向があります。手術にはリスクも伴いますので、医師とよく相談し、メリットとデメリットを理解したうえで、手術を受けるかどうかを判断することが大切です。

研究によると、腰椎とは違い、頚椎椎間板ヘルニアの場合、固定術を併用することで神経症状の改善率が高く、再発や再手術のリスクも低くなることが示されており、前方固定術が標準的な治療とされています。

家庭でできる対処法:安静、冷却、温熱療法、軽いストレッチ

痛みが強いときは、無理に動かさずに安静にすることが重要です。ただし、長時間同じ姿勢でいると筋肉が硬くなってしまうため、適度に姿勢を変えたり、軽いストレッチを行うようにしましょう。

痛みが慢性化している場合は、温熱療法で血行を促進し、筋肉の緊張を和らげましょう。入浴や蒸しタオルなどで温めるのも良いでしょう。ご自身の症状に合わせて行うと良いでしょう。

軽いストレッチは、首や肩周りの筋肉の緊張を和らげ、血行を促進する効果があります。ただし、上を向く動作(伸展)や下を向く動作(屈曲)は痛みなど神経症状を悪化させることがありますので避けるようにしましょう。他にも痺れや痛みが強くなるような運動やストレッチは避け、無理のない範囲で行うようにしましょう。

日常生活での注意点

日常生活での注意点を守ることも、痛みを和らげるために重要です。長時間同じ姿勢での作業は避け、30分~1時間ごとに休憩を取り、軽いストレッチや首の運動を行うようにしましょう。日常生活における具体的な注意点と対策は、以下の表にまとめています。

場面 注意点と対策
デスクワーク 正しい姿勢を保ち、モニターの位置を目の高さに合わせる
パソコンやスマートフォンの使用 首を前に突き出さないように注意する
重い物を持ち上げるとき 腰を落として持ち上げ、首に負担をかけない
高いところに物を置くとき 踏み台を使い、首を過度に伸ばさない

正しい姿勢や動作を意識することで、首への負担を軽減し、痛みを予防できます。

頚椎椎間板ヘルニアの原因

頚椎椎間板ヘルニアの主な原因について、以下の3つを解説します。

  • 加齢による椎間板の変性
  • デスクワークやスマホの使いすぎによる姿勢の悪化
  • 外傷や激しい運動

原因を知ることで、適切な対策を立て、ご自身の生活習慣を見直しましょう。

加齢による椎間板の変性

頚椎椎間板ヘルニアの大きな原因の一つは、加齢による椎間板の変性です。椎間板は、頚椎(首の骨)の骨と骨の間にあるクッションのような役割を果たす組織です。ゼリー状の髄核(ずいかく)という部分を、線維輪という硬い組織が包み込んでいます。椎間板は、首の動きをスムーズにし、歩いたりジャンプしたりする際の衝撃を和らげます。

20歳を過ぎると徐々に椎間板の老化が始まり、水分を失って弾力性が低下していきます。椎間板も同様に、弾力性を失うことで、線維輪に亀裂が生じやすくなり、中の髄核が飛び出してきてしまうことがあります。飛び出した髄核が神経を圧迫することで、首や肩の痛み、腕や手のしびれなどの症状が現れます。

デスクワークやスマホの使いすぎによる姿勢の悪化

長時間同じ姿勢でいることや、悪い姿勢は、頚椎椎間板ヘルニアの大きな原因の一つです。パソコンやスマートフォンを長時間使用すると、猫背になりやすく、首が前方に突き出た状態になります。約5〜6kgの重さがある頭を支えている頚椎に負荷がかかり首の筋肉や椎間板に大きな負担をかけることになります。

姿勢が悪くなると、首や肩周りの筋肉が緊張し、血管が圧迫され、血行不良を起こしやすくなります。血行不良は、椎間板に必要な栄養供給を阻害し、変性をさらに促進させる原因です。正しい姿勢を意識することは、頚椎椎間板ヘルニアの予防や症状の悪化を防ぐうえで重要です。

外傷や激しい運動

頚椎椎間板ヘルニアは、交通事故によるむち打ち症や、スポーツでの激しい接触など、外傷や激しい運動がきっかけで発症することもあります。強い衝撃が加わると、首の骨にかかる負担が急激に増大します。首に大きな負担がかかることで、椎間板に亀裂が生じたり、髄核が飛び出して、周囲の神経を圧迫します。

椎間板ヘルニアにおいて、避けるべき動作や習慣を正しく知っておくことも予防・再発防止に役立ちます。以下の記事では、椎間板ヘルニアの方が「やってはいけないこと」について、具体例を挙げながら詳しく解説しています。
>>椎間板ヘルニアでやってはいけないこと7選|悪化させない方法

頚椎椎間板ヘルニアの症状

椎間板ヘルニアの代表的な症状について、以下の内容を詳しく解説します。

  • 首や肩の痛み
  • 腕や手のしびれ
  • 運動麻痺

放っておくと日常生活にも支障をきたす可能性があるため、まずはどのような症状が現れるのかを理解しましょう。

首や肩の痛み

頚椎椎間板ヘルニアの代表的な症状の一つが、首や肩の痛みです。痛みの程度は人それぞれで、軽い違和感程度から、激痛で首を動かすことも困難な場合もあります。痛む場所も、首の後ろや付け根、肩甲骨周辺など、人によって異なります。

安静にしているときよりも、首の動きや姿勢の変化によって痛みが増すことがあります動作時に痛みが強くなるのは、動作や姿勢の変化によって、ヘルニアが神経をさらに刺激するためです。

腕や手のしびれ

首や肩の痛みと並んで、腕や手のしびれも頚椎椎間板ヘルニアの典型的な症状です。しびれは指先に限られる場合もあれば、腕全体に広がることもあります。ピリピリとした不快感や、ジンジンとした痛みを伴うことも少なくありません。腕や手のしびれは、長時間同じ姿勢でいたり、首を動かしたりしたときに悪化しやすい特徴があります。

運動麻痺

頚椎椎間板ヘルニアが重症化すると、まれに運動麻痺が起こる可能性があります。神経が強く圧迫されることで、神経の伝達機能が著しく低下し、筋肉への指令がうまく伝わらないためです。麻痺は、特定の筋肉に限局して起こる場合もあれば、腕全体に及ぶこともあります。

症状が進むと、ボタンをかける、箸を使う、字を書くといった日常生活における細かい動作が困難になることがあります。握力が低下したり、物を落としやすくなったりすることもあります。

姫路市大室整形外科での頚椎椎間板ヘルニア治療

姫路市の大室整形外科は、脊椎センターと人工関節センターを持つ専門クリニックです。私たちは頚椎椎間板ヘルニアでお悩みの方々に対し、質の高い医療サービスを提供しています。「もし、患者さまが自分の家族だったら私は何をすべきか」を理念に、患者さん一人ひとりの症状やライフスタイル、価値観に合わせた最適な治療プランを提案いたします。

当院の頚椎椎間板ヘルニア治療について、以下の内容を解説します。

  • 受診から治療までの流れ
  • 再発予防のためのリハビリテーション
  • セカンドオピニオンの相談窓口

私たちは、皆さまが再び快適な日常生活を送れるよう、症状の改善だけでなく、長期的な健康維持のサポートにも力を入れています。首や肩の痛み、腕のしびれなど、つらい症状でお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

受診から治療までの流れ

当院では、患者さんが安心して治療を受けていただけるよう、受診から治療まで以下の流れで進めていきます。

  1. 問診
  2. 診察
  3. 画像検査
  4. 治療方針の決定
  5. 術後ケア

まずは問診票にご記入いただき、現在の症状や既往歴、生活習慣などについて詳しく確認します。痛みの程度や部位、症状が現れた時期、どのような時に痛みが強くなるのかなど、些細なことでも構いませんので、お気軽にお話しください。問診でお伺いした内容を踏まえ、医師が、首や肩の動き、神経症状の有無などを丁寧に診察します。

必要に応じて、レントゲン検査やMRI検査などの画像検査を行い、診断を確定します。レントゲン検査では、骨の状態や変形、MRI検査では、椎間板の状態や神経の圧迫の程度などをより詳細に確認することができます。

診断結果にもとづいて、保存療法で経過観察を行うか、手術療法が必要かを慎重に判断します。患者さんのご希望も尊重しながら、治療のメリット・デメリットを丁寧にご説明し、一緒に最適な方法を考えていきます。

手術後は、再発予防のためにリハビリテーションや生活指導などを行い、長期的な健康維持をサポートします。理学療法士が患者さんの状態に合わせて適切なプログラムを作成し、日常生活へのスムーズな復帰を支援します。

再発予防のためのリハビリテーション

大室整形外科では、理学療法士による専門的なリハビリテーションを通じて、痛みの軽減や再発の予防に力を入れています。首や肩周りのストレッチ、筋力トレーニング、姿勢指導などを行います。

日常生活での注意点や、ご自宅でできる簡単なストレッチやエクササイズなどもアドバイスいたします。患者さんが治療後も健康な状態を維持できるよう、丁寧にサポートいたします。

以下の記事では、椎間板ヘルニアの方におすすめのストレッチ方法や、実践時の注意点について詳しく解説しています。
>>椎間板ヘルニアのストレッチ方法|症状を和らげるポイントも解説

セカンドオピニオンの相談窓口

大室整形外科では、セカンドオピニオンのご相談も受け付けています。他の医療機関で治療を受けている方で、治療方針に迷いがある場合や、別の医師の意見を聞いてみたい場合は、お気軽にご相談ください。

セカンドオピニオン外来では、患者さんの現在の状況や治療経過、検査結果などを詳しく問診します。専門医としての見地から、治療の選択肢やメリット・デメリットなどについて丁寧にご説明いたします。患者さんが納得のいく治療法を選択できるよう、サポートさせていただきます。

まとめ

頚椎椎間板ヘルニアの症状は、放置すると悪化し、首の痛みやしびれが強くなったり、日常生活に大きな支障をきたしたりすることがあります。治療には、薬物療法やリハビリテーションなどの保存療法、手術療法、自宅で行えるケアなどさまざまな選択肢があります。正しい知識を持ち、ご自身の症状や生活に合った方法を選ぶことが大切です。

姿勢や動作に気をつけるなど日常生活での工夫を取り入れることで、症状の軽減や再発予防につながります。早期の対応と継続的なケアを心がけ、快適な毎日を目指しましょう。姫路市大室整形外科では、患者さん一人ひとりに寄り添った治療を提供しています。痛みやしびれでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

当院の受診をご希望の方は、まずはお電話にてご予約ください。詳しいアクセス方法は、当院の公式サイトをご覧ください。
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参考文献

Jae Ni Jang, Soyoon Park, Ji-Hoon Park, Yumin Song, Sooil Choi, Young Uk Kim, Sukhee Park.Comparison of efficacy according to voltage of pulsed radiofrequency treatment to lumbar dorsal root ganglion in patient with lumbar radiculopathy: Pilot study.Medicine (Baltimore),2023,102,17,e33617