コラム

腰椎椎間板ヘルニアの症状を和らげる寝方!痛みを軽減する睡眠姿勢を解説

腰椎椎間板ヘルニアは、45〜56歳の約2割が罹患していると報告されており、痛みやしびれなどの神経症状を起こす疾患です。生活の質を下げる原因になることがあり、特に夜間に痛みのせいで眠りづらいと感じる方も少なくありません。

この記事では、腰椎椎間板ヘルニアの症状を和らげる3つの寝方や、避けるべきNG姿勢、寝具の選び方などを詳しく解説します。今夜から実践できる工夫を取り入れて、痛みに配慮した睡眠を目指しましょう。

当院では、腰椎椎間板ヘルニアをはじめとした整形外科疾患に対し、丁寧な診察とわかりやすい説明を心がけています。不安な症状がある方も安心してご相談いただけるよう、以下の記事で診察の流れや受付方法を詳しくまとめています。
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記事監修:川口 慎治

大室整形外科 脊椎・関節クリニック 医師

経歴: 徳島大学医学部卒業後、洛和会音羽病院に勤務
京都大学医学部整形外科学教室入局
学研都市病院脊椎脊髄センター勤務
2023年より 大室整形外科 脊椎・関節クリニック勤務

専門分野:脊椎・脊髄外科

資格:
日本専門医機構認定 整形外科専門医
日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医
日本脊椎脊髄病学会認定 脊椎脊髄外科指導医
日本脊椎脊髄病学会認定 脊椎脊髄外科専門医

ヘルニアの症状を和らげる3つの寝方

ヘルニアの症状を和らげる寝方を3つご紹介します。

  • クッションを活用した仰向け寝
  • 腰への負担を最小限にする横向き寝
  • 神経の圧迫を解放するシムス体位

クッションを活用した仰向け寝

クッションを活用して反り腰を防ぐことで、リラックスした姿勢をとることが期待できます。仰向けで寝ると腰の部分に隙間ができ、腰が反ってしまうことで椎間板に負担がかかることがあります。クッションやタオルを使って腰への負担をやわらげる工夫を取り入れてみましょう。仰向け寝のポイントは、以下のとおりです。

  • 膝下のサポート:クッションや丸めたバスタオルを使い、膝が軽く「く」の字に曲がるようにする
  • 適切な高さ:腰が楽だと感じる高さに微調整する
  • 腰のフィット感:腰がマットレスに自然にフィットし、反りすぎていないかを確認する

椎間板への圧力が分散され、腰まわりの筋肉の緊張もほぐれるため、リラックスした状態で眠りにつきやすくなります。いつも使っているタオルやクッションで試せるので、ぜひ今夜から実践してみてください。

腰への負担を最小限にする横向き寝

横向き寝は、背骨が自然なカーブを保ちやすいため、腰椎椎間板ヘルニアの方におすすめの寝方の一つです。クッションを上手に使うことで、さらに腰への負担を減らすことができます。クッションを使った横向き寝のポイントは、次のとおりです。

  • 痛いほうを上にして横向きに寝る
  • 背骨が左右に曲がらないよう、一直線を意識して姿勢を整える
  • 膝の間にクッションや抱き枕を挟み、骨盤のねじれを防ぐ

クッションを挟むことで、神経への圧迫を和らげやすくなります。

神経の圧迫を解放するシムス体位

シムス体位は、妊婦さんがお腹への圧迫を避けるためにとることが多い、リラックスできる寝方です。横向き寝を少しアレンジした姿勢で、特に痛みが強いときに試す寝方の一つです。以下にシムス体位のとり方の手順を解説します。

  1. 楽なほうへ横向きに寝る
  2. 下になっているほうの腕を、体の後ろへ無理のない位置まで伸ばす
  3. 上になっているほうの足を大きく前に出し、膝を深く曲げる
  4. 曲げた足の下にクッションや抱き枕を置くと、姿勢が安定する
  5. 上になっているほうの腕は、体の前で楽な位置に置く

ややうつ伏せに近い、半横向きの姿勢になります。無理のない範囲で「心地よい」と感じる角度やクッションの高さを探してみてください。

症状を悪化させるNGな寝方

腰椎椎間板ヘルニアの症状を悪化させる恐れのある寝方があります。避けたほうがよい姿勢を2つ紹介します。

  • うつ伏せ寝
  • 痛いほうを下にした姿勢

うつ伏せ寝

腰椎椎間板ヘルニアの場合、うつ伏せ寝は一般的には避けたほうがよい姿勢です。うつ伏せになるとお腹がマットレスに沈み、腰が反り返った状態になりやすいためです。腰が反ってしまうと椎間板に負担がかかりやすくなります。うつ伏せ寝は顔を左右のどちらかに向ける必要があり、頚椎にもねじれの負担がかかります。

ヘルニアの状態によっては、腰を少し反らすほうが楽に感じる場合もあります。うつ伏せで痛みが和らぐと感じる場合は試してもよいでしょう。ただし、痛みやしびれが強くなる場合は、別の姿勢に変えることが大切です。

痛いほうを下にした姿勢

痛いほうを下にして寝ると、体重で患部の神経や血管が圧迫されます。その結果、血行が悪くなり、痛みやしびれが強くなることがあります。血行不良は、傷ついた組織の回復を遅らせる原因にもなります。

また、無意識に痛みをかばおうとするため腰まわりの筋肉が過剰に緊張し、さらに血行が悪くなるという悪循環が起こる場合もあります。横向きで寝る場合は、基本的に「痛いほうを上」にすると、腰への負担を軽減しやすくなります。

このように、椎間板ヘルニアでは日常生活の姿勢や動作が症状に影響することがあります。以下の記事では、椎間板ヘルニアでやってはいけない行動や、症状を悪化させないための注意点について解説しています。
>>椎間板ヘルニアでやってはいけないこと7つ|悪化させない方法

正しい寝具の選び方

正しい寝具の選び方として、腰への負担を軽くするマットレスや枕の選び方を解説します。

適切なマットレスの硬さ・素材

マットレス選びで重要なポイントは、硬さです。柔らかすぎず、硬すぎない、適度な反発力があるものが理想です。良いマットレスとは、立ったときの自然な背骨のS字カーブを、寝ているときも保てるものです。お店で試す機会があれば、実際に横になって確認しましょう。マットレス選びのチェックポイントは、以下のとおりです。

  • 仰向けのとき、腰とマットレスの間に手のひらが入る程度の隙間がある
  • 横向きになったとき、頚椎から尾てい骨までが床と平行に保たれている
  • 体が沈み込みすぎず、少しの力でスムーズに体を動かせる

値段の高いマットレスが良いマットレスというわけではありません。チェックポイントを参考にご自身の体に合うマットレスを選んでください。

首と腰を守る枕の選び方

合わない枕を使うと、腰の筋肉や椎間板に余計な負担がかかってしまいます。背骨は首から腰まで一本でつながっているため、自分に合う高さの枕を選んで、背骨全体のバランスを整えることが大切です。寝る姿勢に応じた理想的な枕の高さをご紹介します。

寝る姿勢 理想的な枕の高さ
仰向け ・立ったときの自然な姿勢を保てる高さ
・視線が真上より少し足元側を向く程度の高さ
・首の後ろのカーブとマットレスの隙間を、枕が優しく埋めてくれる高さ
横向き 肩の高さを補い、首の骨から背骨までがまっすぐ一直線になる高さ

枕を選ぶ際は、今お使いのマットレスの硬さも大切です。柔らかいマットレスなら少し低め、硬めなら少し高めの枕が合う傾向があります。バスタオルを重ねて、ご自身が一番リラックスできる高さを探すのも良い方法です。

日中のセルフケア方法

多くの研究で、保存的なケアが痛みを和らげ、体の機能を改善させることがわかっています。これからご紹介するケアを毎日の生活に取り入れて、つらい症状を和らげていきましょう。

  • ストレッチ
  • 正しい座り方・立ち方

ストレッチ

ストレッチは、硬くなった筋肉をほぐし、血行を良くする大切なケアです。特に、腰と関わりの深いお尻や太ももの裏の筋肉を伸ばしましょう。太ももの裏の筋肉を伸ばす方法は、まず椅子に少し浅めに座り、片方の足を前にまっすぐ伸ばします。次に背筋を伸ばしたまま、骨盤から体を前にゆっくり倒します。

お尻の筋肉を伸ばす方法は、まず仰向けに寝て、両方の膝を曲げます。次に片方の足首を、反対側の膝の上に乗せて「4」の字を作ります。最後に下の足の太ももを両手で持ち、ゆっくりと胸に引き寄せます。

筋肉が柔軟になると、椎間板にかかる余計な圧力を減らすことができます。ただし、やり方を間違えると逆効果になることもあるので注意が必要です。注意点は以下の4つです。

  • 無理はしない
  • 呼吸を続ける
  • 反動をつけない
  • 体を温めてから行う

生活場面に無理なく取り入れられるストレッチなので、入浴後の落ち着いた時間などに実践してみてください。

ストレッチには症状を和らげるためのコツや注意点があります。以下の記事では、椎間板ヘルニアにおすすめのストレッチ方法や、効果的に行うポイントについて解説しています。
>>椎間板ヘルニアのストレッチ方法|症状を和らげるポイントも解説

正しい座り方・立ち方

私たちは一日のうち、長い時間を座ったり立ったりして過ごしています。長時間立っているときや悪い姿勢で座っているときに腰への負担は大きくなります。座るときにチェックする項目は以下のとおりです。

  • お尻と背中を背もたれにしっかりつけ、骨盤を立てる
  • おへその下に少し力を入れ、背筋を伸ばす
  • 足の裏全体が床についていて、膝の角度は約90度に曲げる
  • 腰と背もたれの隙間を埋めている

長時間同じ姿勢で立つときの対策は、電話帳くらいの高さの足台を用意することです。左右の足を交互に足台へ乗せるだけで、腰への負担を大きく分散させることができます。キッチンでの作業やアイロンがけなど、日常生活の場面でぜひ試してください。

まとめ

腰椎椎間板ヘルニアの症状を和らげるために大切なのは、背骨が自然なカーブを保てる姿勢で寝ることです。仰向け寝や横向き寝など、ご自身が一番楽だと感じる寝方を見つけることが、安眠への第一歩になります。体に合う寝具選びや日中のセルフケアも、症状の軽減に役立ちます。

痛みが続くと不安になりますが、できることからひとつずつ取り入れてみてください。痛みが改善しない場合や症状が悪化する場合は、整形外科や脊椎外科の専門医に相談しましょう。

当院は、脊椎センター・人工関節センターの2つを軸にしたクリニックです。腰や関節の痛み、リハビリなどでお悩みの方へ、専門医が丁寧に相談に応じます。JR姫路駅からは無料送迎バスを利用できますので、お気軽にご来院ください。
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参考文献

Sturm C, Schiller J, Egen C, Ranker A, Lemhöfer C, Bökel A. Conservative therapy for lumbar disc herniation. Orthopadie (Heidelb), 2024, 53(12), p.918-927