椎間板ヘルニアとストレスの関係!精神的負担が症状を悪化させる理由と対処法
椎間板ヘルニアの方で、ストレスが溜まると腰や足の痛みが強まる方はいませんか。ストレスは自律神経のバランスを崩し、血行不良や筋肉の緊張につながり、症状を悪化させることが考えられています。椎間板ヘルニアを抱えている方は、日頃のストレス管理を整える必要があります。
この記事では、ストレスで椎間板ヘルニアの痛みが強くなる理由や、今日から実践できるケアを解説します。精神的負担を軽減するアプローチも含めて紹介します。日常生活にセルフケアを取り入れて、心身の負担や苦痛の軽減を図りましょう。
当院では、椎間板ヘルニアをはじめとした整形外科疾患に対し、丁寧な診察とわかりやすい説明を心がけています。不安な症状がある方も安心してご相談いただけるよう、以下の記事で診察の流れや受付方法を詳しくまとめています。
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記事監修:川口 慎治
大室整形外科 脊椎・関節クリニック 医師
経歴:
徳島大学医学部卒業後、洛和会音羽病院に勤務
京都大学医学部整形外科学教室入局
学研都市病院脊椎脊髄センター勤務
2023年より 大室整形外科 脊椎・関節クリニック勤務
専門分野:脊椎・脊髄外科
資格:
日本専門医機構認定 整形外科専門医
日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医
日本脊椎脊髄病学会認定 脊椎脊髄外科指導医
日本脊椎脊髄病学会認定 脊椎脊髄外科専門医
ストレスで椎間板ヘルニアの痛みが強くなるメカニズム
椎間板ヘルニアは、ストレスで痛みが強くなる理由があります。自律神経の乱れによる血行不良と不安や抑うつとの関係性について解説します。
自律神経の乱れが引き起こす血行不良
椎間板ヘルニアの痛み増強には、自律神経の乱れによる血行不良が関係しています。自律神経には交感神経と副交感神経があり、バランスを保つことで健康が維持されています。強いストレスが続くと、交感神経が優位になり自律神経のバランスが崩れやすくなります。
交感神経が優位になると、筋肉の緊張や血管の収縮を促します。筋肉の緊張によるこわばりは、血管の収縮を促し血行不良につながります。血流悪化は痛みを感じる物質を蓄積させ、神経を刺激し痛みを引き起こしやすくします。ストレスを軽減することで自律神経を整え、良好な血流による痛みの緩和が目指せます。
不安や抑うつが痛みを悪化させる仕組み
不安や抑うつによるネガティブな感情は、椎間板ヘルニアの痛み増強に影響します。脳にはエンドルフィンやセロトニンなどの神経伝達物質が、痛みを緩和する役割を担っています。不安や抑うつが続くと、神経伝達物質の調整機能が低下し、以下の順序で痛みが増強する可能性があります。
- 痛みが発生する
- 継続する痛みに対して不安や抑うつなどのストレスが生じる
- ストレスが脳の神経伝達物質に影響する
- 神経伝達物質機能が低下する
- 痛みを感じやすくなり症状が悪化する(1に戻る)
痛みとストレスが互いに影響し症状が慢性化する可能性があります。MRI検査などの画像結果と実際の痛みの強さが一致しない場合は、ストレスが影響している場合があります。不安や抑うつの改善は、ご自身の精神的な状態にも目を向けることが大切です。
椎間板ヘルニアでは日常生活の何気ない行動が、知らないうちに症状を悪化させていることもあります。腰に負担がかかる姿勢や動作、無理なストレッチなどが痛みを長引かせる原因になることもあります。以下の記事では、椎間板ヘルニアの症状を悪化させないために「やってはいけないこと」と、日常生活で気をつけたいポイントについて解説しています。
>>椎間板ヘルニアでやってはいけないこと7つ|悪化させない方法
今日からできるセルフケア
運動によるストレス解消法と夜のリラクゼーション法は、今日からできるセルフケアなので取り入れてみましょう。
運動によるストレス解消法
身体を動かすことに対して不安を感じる方もいますが、過度の安静は血行を悪くし、筋肉が硬くなりやすいです。無理のない範囲で身体を動かす運動は、ストレス解消に役立ちます。運動をすると血行の改善やストレスの低減、筋力の維持などが期待できます。血行の改善は、筋肉の緊張をほぐし痛み原因物質を流します。
運動はセロトニンの分泌を促すため、ストレスの軽減や気分を前向きにする効果が期待できます。腰への負担を考慮しつつ、ストレス解消が期待できる運動は以下の3つです。
- ウォーキング
- 水中ウォーキング
- ヨガやストレッチ
水中ウォーキングは、水の浮力が腰への負担を軽減するため、痛みが強い方でも比較的行いやすい運動です。毎日10分など短い時間から始め、習慣化するようにしましょう。病状次第では控えたほうがいい運動メニューがあるため、医師や理学療法士などに相談してから取り組んでください。
夜のリラクゼーション法
質の良い睡眠は、心と身体をリラックスさせ、身体の回復や痛みに対する不安軽減が期待できます。ぬるめのお湯に15分ほど入浴し、寝る1時間前にはパソコンやスマートフォンを見るのをやめましょう。ブルーライトは、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制し、脳を覚醒させるため、寝つきを悪くさせます。
腹式呼吸は、心身のリラックス効果が期待できます。以下の要領で、お腹の動きを感じながら、5分ほど試しましょう。
- 楽な姿勢で座る、または、仰向けに寝る
- 鼻からゆっくり息を吸い、お腹を膨らませる
- 口からゆっくり息を吐き、お腹をへこませる
痛みが強くてリラックスできない場合は、治療優先が大切です。硬膜外ステロイド注射は、痛む神経部位に投与し痛みを和らげる効果が研究で示されています。痛みを抑えたうえで、安心してセルフケアに取り組むのも有効です。
心の負担を軽くする科学的アプローチ
身体の治療だけでなく、痛みや不安など心の負担を軽くすることが、痛みを和らげる方法として注目されています。専門家による手技療法や認知行動療法について解説します。
不安と運動恐怖を軽減する「手技療法」
手技療法は、理学療法士などの専門家が、直接患者さんの身体に触れて、硬くなった筋肉をほぐす方法です。痛みを和らげるだけでなく、人の手による接触刺激によって安心感をもたらします。運動することへの不安や恐怖が和らぐと、リハビリや普段の生活をより前向きに取り組めるようになります。
研究では、手技療法が心理的に良い影響を与えることが示されています。手技療法を加えることで、痛みに対する不安や恐怖が有意に軽減されたことが、報告されています。手技療法は、身体の痛みを和らげるだけではなく、痛みによる心の負担を軽くし、治療に前向きに取り組める効果が期待できます。
症状が強く保存療法で改善しない場合には、手術が検討されることもあります。以下の記事では、椎間板ヘルニア手術の費用相場や保険適用の条件、自己負担額の目安について解説しています。
>>椎間板ヘルニア手術の費用相場は?保険適用の条件や自己負担額を解説
手術後の機能改善に期待できる「認知行動療法」
認知行動療法の目的は、痛みに対する捉え方を見つめ直し、段階的に柔軟な思考へ変えていくことです。痛みがあってもできることに目を向け、痛みとの新しい付き合い方を学ぶことができます。具体的なアプローチは、以下のとおりです。
- 活動を記録する
- 目標を設定する
- 考え方を修正する
- リラックスする
普段の生活で、どんなときにどれぐらい痛みがあるのかを記録します。毎日5分間散歩するなど、達成可能な小さな目標を立てましょう。目標を達成することで自信を取り戻していき、痛みに対するネガティブな考え方を変える練習をします。
深呼吸や瞑想といったリラックス方法も取り入れ、痛みやストレスに対して、心と身体の反応を整える練習をすることも大切です。認知行動療法を通じて、精神的負担を減らしながら、自分らしい生活を取り戻すことを目指しましょう。
まとめ
椎間板ヘルニアの痛みを改善するには、身体の治療と並行して、ストレス管理や心のケアも検討することが重要です。ストレスが蓄積することで、自律神経が乱れ、痛みが増強する可能性があります。今日からできるセルフケアで、心と身体をリラックスさせ、ストレス軽減を図りましょう。
精神的負担の軽減を目的にした、科学的アプローチの導入も検討します。手技療法と認知行動療法は、痛みと心の負担を軽減させることが期待できます。椎間板ヘルニアのつらい痛みは、一人で抱えず専門家に相談してください。ご自身に適した方法で精神的負担の軽減を図り、前向きに治療に取り組みましょう。
当院は、脊椎センター・人工関節センターの2つを軸にしたクリニックです。腰や関節の痛み、リハビリなどでお悩みの方へ、専門医が丁寧に相談に応じます。JR姫路駅からは無料送迎バスを利用できますので、お気軽にご来院ください。
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参考文献
- Taşkaya B, Taşkent İ, Çakıllı M, Yılmaz Ö. The Effect of Manual Therapy on Psychological Factors and Quality of Life in Lumbar Disc Herniation Patients: A Single Blinded Randomized Clinical Trial. Int J Environ Res Public Health, 2024, 21, 9, p.1234
- Patel K, Chopra P, Martinez S, Upadhyayula S. Epidural Steroid Injections. StatPearls [Internet], 2025

