首と肩が痛い原因|症状別の特徴や対処法、治療法を解説
「そのうち良くなるだろう」と我慢している首や肩の痛み。慢性的な重だるさだけでなく、突然の強い痛みやしびれ、頭痛やめまいを伴う場合は注意が必要です。原因は首や肩そのものの問題だけでなく、別の部位の不調やストレスが関係していることもあります。症状の出方によって、考えられる原因や対処法は大きく異なります。
この記事では、首や肩の痛みの主な原因3つと症状別の特徴、具体的な対処法や治療法をわかりやすく解説します。ご自身の症状を正しく理解し、適切な対応を選べるようになることで、つらい痛みから抜け出す一歩を踏み出しましょう。
当院では、首や肩の痛みをはじめとした整形外科疾患に対し、丁寧な診察とわかりやすい説明を心がけています。不安な症状がある方も安心してご相談いただけるよう、以下の記事で診察の流れや受付方法を詳しくまとめています。
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記事監修:川口 慎治
大室整形外科 脊椎・関節クリニック 医師
経歴:
徳島大学医学部卒業後、洛和会音羽病院に勤務
京都大学医学部整形外科学教室入局
学研都市病院脊椎脊髄センター勤務
2023年より 大室整形外科 脊椎・関節クリニック勤務
専門分野:脊椎・脊髄外科
資格:
日本専門医機構認定 整形外科専門医
日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医
日本脊椎脊髄病学会認定 脊椎脊髄外科指導医
日本脊椎脊髄病学会認定 脊椎脊髄外科専門医
首と肩の痛みの主な原因3つ
首や肩の痛みは、原因によって対処法が大きく異なります。まずはどこに問題があるのかを整理することが大切です。主な原因は次の3つに分けられます。
- 首や肩に原因がある場合
- 首や肩以外の部位に原因がある場合
- ストレスや精神疾患
首や肩に原因がある場合
首や肩そのものに原因があるケースが最も多いです。筋肉や関節、骨に負担がかかることで痛みが起こります。特に長時間のデスクワークやスマホ操作により、首や肩の筋肉が緊張し続けることが大きな要因です。主な原因は次のとおりです。
| 原因の種類 | 具体例と特徴 |
| 筋肉のこり | 猫背や前かがみ姿勢で血流が悪化し重だるい痛み |
| 骨や関節の変化 | 頸椎症や椎間板ヘルニアでしびれを伴うことがある |
| けが | 寝違えやむち打ちで急な強い痛み |
| 炎症や感染 | のどの炎症などで首に痛みが出る |
動かすと痛みが強まる場合は首や肩が原因の可能性が高いです。症状の特徴を確認することが早期改善につながります。
また、首の付け根に痛みが出る場合は、原因や対処法を知っておくことも大切です。以下の記事では、首の付け根が痛いときに考えられる原因や症状の特徴、改善が期待できる対処法について解説しています。
>>首の付け根が痛い原因は?症状の特徴や効果が期待できる改善法を解説
首や肩以外の部位に原因がある場合
首や肩以外の病気が原因で痛みが出ることがあります。これは放散痛と呼ばれ、本当の原因は内臓など別の場所にあります。特に心臓や消化器の病気が隠れている場合は注意が必要です。心臓の病気では、胸を締め付けられるような強い痛みが起こり、左肩や腕、あごに広がることがあります。
冷や汗や息切れ、吐き気を伴うこともあります。胆石症などでは、みぞおちの痛みとともに右肩や背中が痛むことがあります。安静にしても良くならない強い痛みや、いつもと違う症状がある場合はすぐに受診することが大切です。
ストレスや精神疾患
検査で異常が見つからないのに痛みが続く場合、ストレスや心の不調が原因のことがあります。精神的な緊張が続くと体は無意識に力が入り、首や肩の筋肉が硬くなり血流が悪化します。その結果、慢性的な痛みや重だるさが生じます。うつ病などの精神疾患でも、体の痛みとして症状が現れることがあります。
次のような状態が続いていないか確認が必要です。
- 気分の落ち込みが続く
- 好きなことを楽しめない
- やる気が出ない
- 眠れない、または早く目が覚める
- 食欲の変化がある
- 強い疲労感が続く
これらが2週間以上続く場合は心のケアも重要です。体だけに目を向けず、早めに専門家へ相談することが改善への第一歩になります。
また、首の痛みが長く続く場合は、原因を見極めることが大切です。以下の記事では、首の痛みが1ヶ月以上治らない場合に考えられる原因や、受診すべき診療科、注意が必要な病気の可能性について解説しています。
>>【医師監修】首の痛みが1ヶ月治らない原因!何科を受診すべき?病気の可能性も解説
症状別に見る首と肩の痛みの特徴
首や肩の痛みは、感じ方によって原因の傾向が異なります。まずは痛みの種類を整理することが大切です。代表的な症状は次の3つに分けられます。
- 慢性的な鈍痛・重だるさ
- 急激な痛みやしびれ
- 頭痛やめまいを併発する場合
慢性的な鈍痛・重だるさ
慢性的な鈍い痛みや重だるさは、筋肉のこりが原因で起こることが多いです。いわゆる首こりや肩こりの状態で、首や肩の筋肉が長時間緊張し、血流が悪くなることで生じます。血の巡りが悪くなると、筋肉に疲労物質がたまり、重くにぶい痛みを感じます。
主な原因は、長時間のデスクワークやスマートフォン操作、猫背などの姿勢のくせ、目の疲れ、運動不足など日常生活のなかにあります。温めると楽になるのが特徴ですが、放置すると慢性化しやすくなります。生活習慣を見直し、改善しない場合は早めに相談することが大切です。
また、首の痛みには筋肉のこり以外にもさまざまな原因があります。以下の記事では、首筋が痛いときに考えられる原因や対処法、放置すると注意が必要な症状について解説しています。
>>首筋が痛いときの原因と対処法!放置すると危険な症状も解説
急激な痛みやしびれ
急激な痛みやしびれは神経のトラブルが原因の可能性が高いです。突然首が動かせないほど痛んだり、腕や指先までしびれが広がったりする場合は注意が必要です。首の骨である頸椎や、その間にある椎間板が変形・突出し、神経を圧迫していることがあります。代表的な病気は次のとおりです。
| 病名 | 状態の特徴 |
| 頸椎椎間板ヘルニア | 椎間板が飛び出し神経を圧迫し腕にしびれが出る |
| 頸椎症 | 加齢による骨の変形で神経の通り道が狭くなる |
| 寝違え | 筋肉や靭帯の急な炎症で強い痛みが出る |
特に次のような症状は神経(脊髄)の圧迫が強いサインです。
| 危険なサイン | 内容 |
| 手の力が弱い | 物を落としやすい |
| 指先が不器用 | 箸やボタンが使いにくい |
| 歩きにくい | 足がもつれる |
これらは『頸髄症(けいずいしょう)』と呼ばれ、神経の根本である脊髄(頚髄)が強く圧迫されているサインです。これらは放置すると悪化することがあります。リハビリだけで改善しないことも多く、早期に整形外科専門医の診断を受けるべき状態です。
頭痛やめまいを併発する場合
首や肩の痛みに頭痛やめまいが加わる場合は原因が複雑なことがあります。首や肩の筋肉が強く緊張すると、後頭部から頭全体が締め付けられるように痛む緊張型頭痛が起こります。首の筋肉の異常や骨のずれが影響し、体のバランスが乱れてめまいが出ることもあります。
首を動かすとクラッとしたり、ふわふわする感覚が続くのが特徴です。胸の痛みや息苦しさを伴う場合は心臓の病気、頭痛や手足のしびれ、ろれつが回らない症状がある場合は脳の病気の可能性もあります。いつもと違う強い症状があればすぐに受診することが大切です。
首と肩の痛みの対処法3つ
首や肩の痛みは、日常生活のなかでの工夫によって軽減できることがあります。まずは負担を減らし、回復しやすい環境を整えることが大切です。代表的な対処法は次の3つです。
- 寝具の見直し
- 運動療法
- 薬物療法
それぞれのポイントを順に解説します。
寝具の見直し
寝具を見直すことは首と肩の痛み改善の基本です。寝ている間の姿勢が悪いと、首や肩の筋肉は長時間引っ張られ続けます。特に朝起きたときに痛みが強い場合は、枕やマットレスが合っていない可能性があります。選ぶ際のポイントは次のとおりです。
| 項目 | 確認ポイント |
| 枕の高さ | 仰向けで首が自然なカーブを保てる |
| 横向き時 | 頭から背骨が一直線になる |
| マットレスの硬さ | 体が沈み込みすぎず面で支える |
枕が高すぎると首が前に曲がり、低すぎるとあごが上がります。マットレスが柔らかすぎると体がくの字に沈み、硬すぎると一部に圧力が集中します。自然な姿勢を保てる寝具選びが回復を助けます。
運動療法
運動療法は首や肩の血流を改善し、再発を防ぐために重要です。筋肉が硬くなったままでは痛みは繰り返しやすくなります。適度に動かすことで筋肉がほぐれ、酸素や栄養が行き渡りやすくなります。特に姿勢の悪さやデスクワークが原因の場合に効果が期待できます。ただし、痛みを我慢して行わないことが大前提です。
強い痛みがあるときは安静を優先します。行う際のポイントは次のとおりです。
- 痛みの出ない範囲でゆっくり動かす
- 深呼吸をしながら行う
- 反動をつけずに伸ばす
- 毎日少しずつ継続する
首を前後左右にゆっくり倒して10秒保つ、肩甲骨を大きく回す体操などは自宅でも行えます。お風呂上がりなど体が温まっているときは、特に効果が期待できます。継続することで筋肉の柔軟性が高まり、痛みが出にくい体をつくることができます。
薬物療法
薬物療法は痛みを早く和らげ日常生活を取り戻すための手段です。セルフケアで改善しない場合は、症状に応じて以下のような薬を使います。
| 種類 | 目的と特徴 |
| NSAIDs | 炎症を抑え痛みを軽減 |
| 筋弛緩薬 | 筋肉の緊張をゆるめる |
| 外用薬 | 患部に直接作用し全身への影響が少ない |
| 神経ブロック注射 | 強い痛みを直接抑える |
市販薬は一時的な対処に役立ちますが、原因そのものを治す薬ではありません。改善しない場合は受診が必要です。急性の首の痛みに対する強い鎮痛薬オピオイドは、近年の大規模研究で偽薬と大きな差がなかったと報告されています。強い薬が必ずしも最適とは限りません。専門医が原因を見極め、適切な治療を選ぶことが重要です。
まとめ
首や肩の痛みは身近な症状ですが、原因は単なるこりだけとは限りません。姿勢の乱れや筋肉の緊張、神経の圧迫、内臓の病気のサイン、さらにはストレスなど、背景はさまざまです。特に腕のしびれや胸の痛み、強い頭痛などを伴う場合は注意が必要です。
ストレッチや寝具の見直しなどのセルフケアで改善することもありますが、効果がない場合や「いつもと違う」と感じる症状がある場合は、自己判断で放置しないことが大切です。原因を正確に見極め、適切な治療を受けることが痛みから解放されるための近道です。
当院は、脊椎センター・人工関節センターの2つを軸にしたクリニックです。腰や関節の痛み、リハビリなどでお悩みの方へ、専門医が丁寧に相談に応じます。JR姫路駅からは無料送迎バスを利用できますので、お気軽にご来院ください。
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参考文献
Caitlin M P Jones, Richard O Day, Bart W Koes, Jane Latimer, Chris G Maher, Andrew J McLachlan, Laurent Billot, Sana Shan, Chung-Wei Christine Lin.Opioid analgesia for acute low back pain and neck pain (the OPAL trial): a randomised placebo-controlled trial.Lancet,2023,402,10398,p.304-312.

