コラム

慢性腰痛の治し方や特徴を解説!根本原因から改善する方法

3か月以上続く腰の痛みに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。痛みは、日々の姿勢のクセや運動不足、ストレスなど生活習慣の積み重ねが原因となっている可能性があります。

この記事では、腰痛の根本的な原因や治療方法、今日から実践できるセルフケアなど幅広く解説します。慢性的な腰痛に悩まされている方は、原因を見極め、改善への第一歩を踏み出すヒントにしてください。

当院では、腰痛をはじめとした整形外科疾患に対し、丁寧な診察とわかりやすい説明を心がけています。不安な症状がある方も安心してご相談いただけるよう、以下の記事で診察の流れや受付方法を詳しくまとめています。
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記事監修:川口 慎治

大室整形外科 脊椎・関節クリニック 医師

経歴: 徳島大学医学部卒業後、洛和会音羽病院に勤務
京都大学医学部整形外科学教室入局
学研都市病院脊椎脊髄センター勤務
2023年より 大室整形外科 脊椎・関節クリニック勤務

専門分野:脊椎・脊髄外科

資格:
日本専門医機構認定 整形外科専門医
日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医
日本脊椎脊髄病学会認定 脊椎脊髄外科指導医
日本脊椎脊髄病学会認定 脊椎脊髄外科専門医

慢性腰痛の根本原因

慢性腰痛の根本原因について、以下の内容を解説します。

  • 急性腰痛と慢性腰痛の違い
  • 姿勢・骨格・ストレスなど慢性化を招く要因
  • 放置が危険な内臓疾患・重篤疾患のサイン

急性腰痛と慢性腰痛の違い

腰痛は、痛みが続く期間によって急性腰痛と慢性腰痛に分けられています。以下の表では、急性腰痛と慢性腰痛の主な違いを項目別にまとめています。

項目 急性腰痛(ぎっくり腰) 慢性腰痛
痛みの期間 4週間未満 3か月以上
痛みの特徴 突然、動けなくなるほどの激しい痛み ・鈍い痛みが続く
・特定の動作で痛む
主な原因 筋肉や靭帯の損傷(腰の捻挫) 以下の複数の要因が絡む
・筋力低下
・姿勢のクセ
・ストレス
・神経の過敏
治療の焦点 炎症を抑える 痛みの根本原因の改善

急性期腰痛と慢性腰痛は原因や症状、治療方法などが異なります。ご自身の腰痛が該当するのか正確に判断するために、医師にご相談ください

姿勢・骨格・ストレスなど慢性化を招く要因

慢性腰痛が長引く背景には身体的な要因だけでなく、心理的な要因も関わっています。痛みを慢性化させる主な要因は以下の4つです。

  • 姿勢・動作の要因:不良姿勢や動作の癖
  • 個人的な要因:運動不足や加齢、肥満
  • 環境要因:長時間のデスクワークや運転・体に合わない寝具
  • 心理・社会的な要因:ストレスや不安、恐怖心

要因が複数絡み合うことで、治療が長期的な慢性腰痛につながりやすくなります。

放置が危険な内臓疾患・重篤疾患のサイン

ほとんどの腰痛は命に関わるものではありません。ごくまれに、がんの骨への転移や背骨の感染症、内臓の病気などが原因で腰痛が起きる可能性があります。医師が特に注意する症状で、レッドフラッグ(Red Flags)と呼ばれています。

以下の症状が見られる場合は、単なる腰痛ではない可能性があるため、できるだけ早く整形外科を受診してください。

  • 安静にしても痛みが治まらず、夜間に悪化する
  • 発熱や原因不明の体重減少がある
  • 転倒や打撲後に強い痛みがある
  • 足のしびれや麻痺が進行している
  • 足に力が入らず歩きにくい
  • 尿や便が出にくい、または漏れる
  • がんや重い感染症の治療歴がある

1つでも当てはまる場合は自己判断せず、すぐに専門医に相談しましょう。

慢性腰痛の治療法

慢性腰痛の治療法について以下の内容を解説します。

  • 整形外科での診断・検査・治療の流れ
  • 保存療法(薬・注射・リハビリ)
  • ブロック注射の効果・持続期間
  • 手術が検討されるケース

整形外科での診断・検査・治療の流れ

慢性腰痛の治療は原因を正確に突き止めることが大切です。整形外科では、専門的な知識と検査機器を用いて、痛みの根本原因を調べ、一人ひとりに合った治療計画を立てます。基本的な診察の流れは、以下のとおりです。

  1. 問診
  2. 身体検査
  3. 画像検査
  4. 診断と治療方針の説明

問診と身体検査では、痛みの経過や腰の状況を確認します。痛みや日常生活の情報は診断に役立つため、事前に準備しておくのがおすすめです。画像検査で骨の状態や神経、筋肉など詳細を確認したうえで診断を行い、今後の治療方針を患者さんと相談しながら決定します

保存療法(薬・注射・リハビリ)

慢性腰痛の治療では多くの場合、手術をしない保存療法から始めます。主な保存療法は、以下の3つです。

  • 薬物療法
  • 注射療法
  • リハビリテーション

薬物療法は痛みを和らげ、生活の質を保つことが目的です。内服薬は、消炎鎮痛薬や筋弛緩薬を処方し、外用薬は患部への湿布や塗り薬の処方が主です。注射療法は、痛みが強かったり特定部位に原因があったりする際に行い、使用する際は症状に応じて選択されます。

リハビリテーションは理学療法士が運動療法や物理療法を行います。正しい体の使い方を身につけ、筋力や柔軟性を高めることで再発予防を目指すのが目的です。薬だけに頼らず、体全体に働きかけるリハビリテーションが大切です

ブロック注射の効果・持続期間

ブロック注射は、痛みの原因部分の神経や周辺に局所麻酔薬などを注射し、痛みの伝達を一時的に遮断する治療法です。強い痛みをやわらげ、日常生活を送りやすくする鎮痛作用が期待できます。神経が脳へ痛みを伝えるのを一時的に遮断することで、強い痛みが軽減しやすくなります。

痛みによって緊張していた筋肉がゆるみ、血流が改善されることで、炎症や痛みの原因となる物質が流れやすくなります。痛みの悪循環を断ち切る手段の一つとして、ブロック注射が選択されることもあります。効果の持続には個人差があるため、医師と効果を確認しながらすすめましょう。

手術が検討されるケース

多くの場合、慢性腰痛は保存療法での改善が期待されますが、次のようなケースでは手術が検討されます。

  • 保存療法で改善しない場合
  • 重い神経症状がある場合
  • 画像検査で明らかな原因がある場合

薬やリハビリを数か月続けても、日常生活に支障をきたすほど痛みが続く場合は、手術の選択肢が考慮されます。神経症状としては、足に力が入らず歩行が困難になる、排尿・排便がうまくできないなどが挙げられ、早急な対応が必要です。

画像検査で、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症による神経の強い圧迫が確認された場合も、手術が推奨される場合があります。現在では、体への負担が少ない内視鏡手術なども普及しており、術後の痛みを抑える工夫も進んでいます。手術の必要性やリスクについては、医師と十分に相談したうえですすめましょう。

腰痛の治療法は、原因や症状の種類によって大きく異なります。保存療法で様子を見るべきか、専門的な治療や手術を検討すべきか判断するためには、腰痛全体の治療選択肢を理解しておくことが重要です。以下の記事では、腰痛の原因や症状別の治療法、受診の目安について詳しく解説しています。
>>腰痛の治療法とは?症状の種類や原因、受診の目安を解説

今日からできる慢性腰痛セルフケア

今日からできる慢性腰痛セルフケアの方法について、以下の内容を解説します。

  • 痛みのぶり返しを防ぐ「日常生活の注意点とNG習慣」
  • 姿勢・動作・睡眠環境の整え方
  • 運動療法・ストレッチの取り入れ方
  • 温冷療法やコルセットの正しい使い方

痛みのぶり返しを防ぐ「日常生活の注意点とNG習慣」

慢性腰痛があるとき「痛いから動かさない」判断が、かえって回復を遅らせる場合があります。ぎっくり腰のような激しい痛みがある場合を除き、痛みのない範囲で体を動かすことが大切です。血行が促進され、筋肉のこわばりを防ぎ、回復や再発予防につながるとされています。

つらいときは横向きで膝の間にクッションを挟む、仰向けで膝の下に枕を入れるなど、楽な姿勢の工夫をしましょう。体を温める短時間の歩行や軽いストレッチ、ぬるめのお風呂に入るセルフケアもおすすめです。足のしびれや痛みが悪化する場合は、早めに医療機関を受診してください。

以下のNG習慣にも注意が必要です。

  • 長時間の同一姿勢
  • 急に重い物を持ち上げる動作
  • 猫背や前かがみの姿勢
  • 痛みに対する過度な恐怖心
  • コルセットへの過度な依存

まずは無理のない範囲で1つずつ見直すことが大切です。

姿勢・動作・睡眠環境の整え方

慢性腰痛の改善と予防には、日常生活の土台となる「姿勢」「動作」「睡眠」を見直すことが重要です。腰に負担をかけにくい環境を整えるために、以下を意識しましょう。

  • 正しい姿勢を意識する
  • 腰に優しい動作を身につける
  • 睡眠環境を整える

座るときは椅子に深く腰かけ、背もたれに背中をつけ骨盤を立てましょう。足裏が床につく高さに調整し、立つときは耳・肩・腰・膝・くるぶしが一直線になるよう意識します。お腹に軽く力を入れると、姿勢を保ちやすいです。

重い物を持つときは荷物に近づき、膝を曲げて腰を落とし、脚の力で持ち上げます。顔を洗うときは膝を軽く曲げ、股関節から前に倒すようにしましょう。寝具は、体が沈み込みすぎず、寝返りがしやすいマットレスを選びます。枕は横向き時に首と背骨がまっすぐになる高さが理想です。

運動療法・ストレッチの取り入れ方

慢性腰痛の改善には、適度な運動を取り入れましょう。体幹の筋肉を鍛えると腰への負担軽減が期待できます。血行が促進すると、痛みの物質も流れやすくなると考えられています。運動療法のポイントは、以下のとおりです。

  • 無理のない範囲から始める
  • 継続する
  • 腰だけでなく全身を動かす

猫背や前かがみの姿勢が多い方は、以下のストレッチで腰まわりをやさしく動かしましょう。

  1. 足を肩幅よりやや広めに開いて立つ
  2. 両手を腰(骨盤のすぐ上あたり)にあてる
  3. 息を吐きながら骨盤を前に押し出すように軽く上体を反らす
  4. そのまま3秒キープし、ゆっくり戻す
  5. 1〜2回繰り返す

強い痛みやしびれを感じる場合は中止してください。最近では、理学療法士によるビデオ通話を活用した「テレリハビリテーション」も注目されています。従来の通院リハビリと比べて効果に大きな差はないという報告があります。通院が難しい方でも、専門家の指導を受けやすい選択肢の一つです。

温冷療法やコルセットの正しい使い方

温湿布・冷湿布やコルセットを正しく使うことで、つらい症状の緩和に役立ちます。それぞれの特徴を理解し、ご自身の状態に合わせて使い分けましょう。温冷療法について以下の表にまとめています。

温める(温熱療法) 冷やす(冷却療法)
適した症状 ・慢性的な鈍い痛み
・筋肉がこわばっている感じ
・急な激しい痛み(ぎっくり腰など)
・患部が熱を持っている
・腫れている
目的 血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる 炎症を抑え、痛みを鎮める
方法 ・入浴
・蒸しタオル
・カイロや温湿布
・氷のう(タオルで包む)
・冷湿布

慢性腰痛の場合は、基本的に血行を良くするために温めるのがおすすめです。コルセットは、痛みが強いときや腰に負担がかかる作業時に一時的に使用します。長時間の使用は筋力低下を招く恐れがあるため、常用は避けましょう。

腰痛が強く、起き上がるのがつらい場合は、温冷療法やコルセットだけでは十分に対応できないこともあります。無理に動くことで症状が悪化するケースもあるため、応急的な対処法や注意すべき症状を知っておくことが大切です。以下の記事では、腰痛で起き上がれないときの具体的な対処法や、受診が必要な危険なサインについて解説しています。
>>腰痛で起き上がれないときの対処法|原因と応急処置、受診すべき危険な症状を解説

まとめ

3か月以上続く腰痛は、姿勢の癖や運動不足、ストレスなど、さまざまな要因が複雑に絡み合った状態です。専門的な治療と、日常生活を見直すセルフケアは、改善を目指すうえで大切です。痛みのない範囲で体を動かしたり正しい姿勢を意識しましょう。

痛みが続く場合や、しびれ・排尿障害などを自覚する場合は、自己判断せず整形外科などの専門医に相談することが大切です。一人で抱え込まず、専門家とともに痛みのない快適な生活を目指しましょう。

当院は、脊椎センターのあるクリニックです。腰の痛みやリハビリなどでお悩みの方へ、専門医が患者さん一人ひとりの症状や原因に合わせた治療法を選択します。お気軽にご来院ください。
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参考文献

Alahmri F, Nuhmani S, Muaidi Q. Effectiveness of telerehabilitation on chronic low back Pain: Systematic review and Meta-Analysis. Int J Med Inform, 2026, 206, p.106174