圧迫骨折のコルセット療法!正しい装着方法と着用期間、効果を高めるポイント
突然の激痛で「圧迫骨折」と診断され、これから始まるコルセット生活に不安を感じていませんか。「本当に治るの?」「いつまで続くの?」と、不安を抱えている方も多いです。コルセットは折れた背骨を守る重要な装具ですが、ただ着けているだけでは効果は半減してしまいます。
この記事では、着用期間の目安である約2〜3か月をどう過ごすかについて解説します。正しい装着方法や皮膚トラブルの予防策、回復をサポートするための重要なポイントまで詳しく紹介します。コルセットを正しく活用し、回復を妨げない生活のポイントを実践できるようになります。
当院では、圧迫骨折をはじめとした整形外科疾患に対し、丁寧な診察とわかりやすい説明を心がけています。不安な症状がある方も安心してご相談いただけるよう、以下の記事で診察の流れや受付方法を詳しくまとめています。
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記事監修:川口 慎治
大室整形外科 脊椎・関節クリニック 医師
経歴:
徳島大学医学部卒業後、洛和会音羽病院に勤務
京都大学医学部整形外科学教室入局
学研都市病院脊椎脊髄センター勤務
2023年より 大室整形外科 脊椎・関節クリニック勤務
専門分野:脊椎・脊髄外科
資格:
日本専門医機構認定 整形外科専門医
日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医
日本脊椎脊髄病学会認定 脊椎脊髄外科指導医
日本脊椎脊髄病学会認定 脊椎脊髄外科専門医
圧迫骨折におけるコルセットの役割
圧迫骨折におけるコルセットの役割について、次の2つを解説します。
- コルセットの主な効果(固定・痛みの軽減)
- 硬性コルセットと軟性コルセットの違い
コルセットの主な効果(固定・痛みの軽減)
コルセットには、圧迫骨折からの回復を助けるための4つの働きがあります。体をただ支えるだけではない、その具体的な効果は以下のとおりです。
- 折れた背骨をがっちり固定する
- つらい痛みを和らげる
- 正しい姿勢を保つ手助けをする
- 動くことへの不安を軽くする
コルセットには、折れた背骨を安定させ、これ以上つぶれたりずれたりするのを防ぐ役割があります。体を動かした際に骨折部へ余計な力がかからないよう守ります。背骨の動きを制限することで、動作時に生じるつらい痛みを和らげる効果も期待できます。お腹周りを適度に圧迫して腹圧を高め、背骨や周囲の筋肉の負担を軽減します。
痛みで背中が丸まりやすい状態でも、正しい姿勢を保つ手助けとなり、背骨が曲がったまま固まるのを防ぎます。体が守られているという安心感は動くことへの不安を軽くし、早期回復につながります。
硬性コルセットと軟性コルセットの違い
圧迫骨折で使われるコルセットには、骨折の状態に合わせて「硬性コルセット」と「軟性コルセット」を使い分けられます。それぞれ以下のような違いがあります。
| 種類 | 硬性コルセット | 軟性コルセット |
| 素材 | プラスチックや金属を使った硬い素材 | 伸縮性のある布などの柔らかい素材 |
| 固定力 | 強い | やさしい |
| どんなときに使うか | ・骨折がひどい場合 ・治療の初め(急性期) |
・骨折が軽い場合 ・症状が落ち着いてきた時期(回復期) |
| 良い点 | ・折れた骨を強力に固定し、安定させる ・体の動きを大きく制限し、骨がくっつくのを助ける |
・軽くて動きやすい ・日常生活での違和感が少ない |
| 注意点 | ・重くて動きにくい ・蒸れやすく、皮膚がかぶれやすい |
固定する力は硬いタイプに劣る |
コルセットは骨の回復を支える補助的な治療です。圧迫骨折の根本的な原因には、骨粗鬆症が隠れていることも少なくありません。コルセットでの治療と同時に、骨粗鬆症の検査や治療を行うことが重要です。
近年の研究では「逐次療法(ちくじりょうほう)」という治療法が注目されています。骨形成促進薬の後に骨吸収抑制薬を用いる方法で、骨密度を高め再骨折のリスクを下げる可能性が報告されています。
以下の記事では、圧迫骨折の原因や症状、治療法、放置した場合のリスクについて詳しく解説しています。
>>圧迫骨折とは?原因や症状、治療法と放置するリスクを解説
コルセットの正しい装着方法
コルセットの治療効果を高めるための3つのポイントを解説します。
- 装着位置
- 締め付け強度
- 付け外しのタイミング
装着位置
コルセットの効果を引き出すためには、正しい位置に装着することが重要です。まず、鏡の前でご自身の体を見ながら位置を確認してみましょう。正しい装着位置の3つのチェックポイントは、以下のとおりです。
- 背中の中心に合わせる
- 骨盤に軽くかかる高さに合わせる
- おへそが中心にくるように合わせる
コルセット背面の硬い支柱やパッドは、背骨の中央に沿う位置に合わせましょう。左右にずれると固定力が弱まり、効果が下がります。コルセットの下の縁が、腰骨の出っ張りに軽くかかる高さが目安です。低すぎると背骨を支えられず、高すぎると肋骨に当たって痛みが出ることがあります。
正面から見て中心がおへそ付近にくると、全体のバランスが整います。装着時は背筋を伸ばした正しい姿勢で行うことが大切です。猫背のまま着けると、悪い姿勢が固定され、背骨への負担が増える恐れがあります。自分で確認しにくい場合は、家族に背中側のずれを確認してもらうと安心です。
締め付け強度
コルセットは、緩すぎてもきつすぎてもいけません。適切な強さで締めることで、体をしっかりと支える効果が生まれます。締め付けの強度を、以下のセルフチェックで確認しましょう。
- 手のひら一枚分の余裕
- 深呼吸ができるか
- 座ったときの圧迫感
コルセットとお腹との間に手のひらが入る程度が理想です。指が数本しか入らない場合は締めすぎ、握りこぶしが入るほど緩いと固定効果が低下します。装着後は深呼吸して息苦しくないかを確認しましょう。立位と座位で圧迫感が変わるため、座ったときの苦しさも要チェックです。食後は、緩めに調整することも大切です。
締め付けが強すぎると、血行が悪くなったり、呼吸がしづらくなったりするだけでなく、皮膚を傷つけてしまう恐れがあります。逆に緩すぎると、体を動かしたときにコルセットがずれてしまい、骨折部分を固定する大切な役割を果たせません。ご自身の体に合わせて、こまめに調整することが大切です。
付け外しのタイミング
コルセットをいつ着けていつ外すのかは、骨折の状態や回復具合によって異なります。自己判断で付け外しをせず、必ず医師の指示に従ってください。
コルセットは、朝の起き上がり動作の前に装着することが大切です。起き上がる動作は、一日の中で特に背骨へ負担がかかるため、ベッドの上で体を起こす前に着けましょう。入浴時は水濡れを防ぐため外しますが、転倒や前かがみの姿勢には注意が必要です。入浴後は体を十分に拭き、できるだけ早く再装着するようにしましょう。
コルセットを外せるようになる時期は、痛みの程度やレントゲンでの骨のくっつき具合(骨癒合:こつゆごう)を見て、医師が総合的に判断します。コルセットを卒業し、再骨折を防ぐためには、コルセットによる固定と並行して、骨粗鬆症の治療を行うことが重要です。
コルセットの着用期間
着用期間の目安について、以下の2つを解説します。
- 期間の目安は2〜3か月
- 1日の装着時間は治療段階で異なる
期間の目安は2〜3か月
コルセットを着用する期間は、一般的に約2〜3か月が目安とされています。あくまで標準的な期間であり、実際には患者さんそれぞれの状態によって大きく変わります。着用期間が変わる主な理由は、骨がくっつく(骨癒合)までのスピードが人によって違うためです。骨折のひどさや、年齢、骨密度などの要因が期間に影響します。
コルセット着用期間の目安は、次のとおりです。
- 若い方・骨折が軽い場合:約6〜8週間
- 一般的な圧迫骨折の場合:約2〜3か月
- 高齢の方・骨粗鬆症がある場合:3〜4か月以上
重要なのは、圧迫骨折の背景に骨粗鬆症が関係している場合が多いという点です。コルセットは、骨が固まるまでの間に背骨を支える補助的な役割にとどまります。本当の回復と再骨折予防のためには、骨そのものを強くする治療を併せて行うことが欠かせません。
最終的にコルセットを外すタイミングは、医師が痛みの程度やレントゲン写真などを確認し、骨が十分に固まったと判断してから決定します。自己判断で外してしまうと、骨が変形したまま固まってしまう恐れがあるため、必ず医師の指示に従ってください。
以下の記事では、骨粗鬆症の原因や症状、放置した場合のリスク、早期発見のポイントについて詳しく解説しています。
>>骨粗鬆症の原因は?症状や放置するリスク、早期発見のポイントを解説
1日の装着時間は治療段階で異なる
コルセットは、折れた背骨を安定させ、安静に保つためのものです。特に治療の初期段階では、体を起こしている時間は基本的にずっと装着しておく必要があります。1日の装着時間は、治療の段階によって少しずつ変わってきます。
治療の初めである急性期(受傷後約4週間)は、特に安静が重要な時期です。痛みが強いため、体を起こしている間は常にコルセットを装着し、骨折の状態によっては就寝時も着用するよう指示されることがあります。
その後、痛みが和らぎ骨の状態が安定してくる回復期には、医師の判断のもとで、少しずつ外す時間を設けることがあります。夜間のみ外すなど、段階的に装着時間を調整していきます。生活シーン別の装着のポイントは、以下のとおりです。
- 日中の活動中:体を起こしている間は装着する
- 就寝時:基本的には医師の指示に従う(痛みが出る場合は装着することもある)
- 入浴時:外して入浴し、転倒に注意して入浴後はすぐに装着する
1日の装着時間についても、ご自身の判断で変更せず、主治医の指示を守りましょう。
コルセットの効果を高めるポイント
以下のコルセットの効果を高める3つのポイントを、毎日の生活で実践しましょう。
- 皮膚トラブルを予防する
- 寝るとき以外はコルセットを装着する
- 負担のかかる動作を避ける
皮膚トラブルを予防する
コルセットを長時間つけていると、蒸れやすくなります。汗や摩擦によって、皮膚が赤くなったり、かぶれたりすることがあります。暑い季節やもともと皮膚が弱い方は注意が必要です。快適にコルセット治療を続けるために、以下の点を守りましょう。
- 清潔な下着を必ず着る
- 毎日、お肌の状態を鏡でチェックする
- 赤みやかゆみは我慢しない
コルセットが直接肌に触れないよう、必ず下に清潔な下着を一枚着用しましょう。汗を吸いやすい綿素材がおすすめで、下着がクッションとなり皮膚への刺激を和らげます。汗をかいたらこまめに着替え、清潔を保つことが大切です。入浴などで外した際は、腰骨や背骨など当たりやすい部分の皮膚状態を確認しましょう。
背中側は家族に見てもらうと安心です。赤みやかゆみ、水ぶくれなどの異常があれば放置せず、早めに医師や看護師へ相談してください。
医師の指示通り装着時間を守る
圧迫骨折の治療の基本は、骨折した部分を安静に保つことです。医師の指示に従い、原則としてお風呂に入るときなどを除き、寝るときも含めて装着を継続することが推奨されます。装着時間は患者さんの状態により異なるため、主治医の指示に従ってください。
寝返りが、治りかけている背骨に負担をかけ、痛みがぶり返す原因になります。自己判断でコルセットを外してしまうと、骨が曲がったまま固まってしまったり、骨がくっつかなくなってしまったりすることもあります。
寝ている間の圧迫が強い場合や、皮膚トラブルのリスクが高い場合は、医師に相談してください。ご自身の判断で装着時間を変えないようにしましょう。
負担のかかる動作を避ける
コルセットを着けていても、背骨に強い負担がかかる動きは避けましょう。骨の治りを遅らせるだけでなく、新たな骨折を引き起こす危険性もあります。日常生活では、特に以下の動作に注意してください。
- 体を前に倒す(前かがみ)
- 体をひねる
- 重いものを持つ
- 勢いよく座る
重要なのは、コルセットは骨折部を支える補助的な治療であり、骨折の原因となる骨粗鬆症そのものを治すものではないという点です。
当院では、患者さん一人ひとりの骨の状態に合わせた骨粗鬆症の検査・治療についてもご相談いただけます。コルセットによる治療と並行して、骨折の再発予防を目的とした骨粗鬆症治療を検討することが可能です。
骨粗鬆症の治療にはさまざまな薬があり、それぞれ作用の仕組みや効果、使用できる期間が異なります。内服薬との違いや注意点を知っておくことも大切です。以下の記事では、骨粗鬆症の薬の種類や特徴、治療中の注意点について詳しく解説しています。
>>骨粗鬆症の薬の種類一覧|治療中の注意点や効果、選び方を解説
>>骨粗鬆症の注射治療とは?効果や種類、副作用をわかりやすく解説
まとめ
コルセットは、正しい位置と適切な強さで装着し、医師の指示通りの期間と動作を守ることが重要です。コルセットは骨が固まるまでの補助的な治療であり、骨折の原因となる骨粗鬆症そのものを改善するものではありません。再骨折を防ぐためには、骨粗鬆症に対する検査や治療を同時に進めることが欠かせません。
コルセット生活は不安に感じることも多いですが、自己判断はせず、医師と相談しながら、回復を目指していきましょう。
当院の受診をご希望の方は、まずはお電話にてご予約ください。詳しいアクセス方法は、当院の公式サイトをご覧ください。
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参考文献
Tianfeng Li, WeiJie Zheng, Qiaoli Zhang, Mingxin Liao, Liang Jin, Fengchun Wu, Fei Zhou, Yukun Wang, WanChen Gong, Yuchen Xia, Zhengyi Lin, Xiaohui Xiong, Yihan He, Jian Ye, Jiexin Huang.The efficacy and safety of romosozumab sequential therapy in postmenopausal women: A systematic review and meta-analysis.J Orthop,2025,72,p.152-159

