腰椎すべり症の痛みを軽減する寝方!楽になる姿勢と悪化させない工夫を解説
朝の腰の痛みで起き上がりがつらかったり、足のしびれで夜中に起きたりする症状に悩まされていませんか。腰椎すべり症の方は、睡眠中の寝方が影響している可能性があります。睡眠中は無意識にしている姿勢や、体に適していない寝具が原因で腰へ負担をかけている可能性があります。
この記事では、腰への負担を最小限に抑える寝姿勢や寝返りのコツ、症状を和らげる寝具選びのポイントなどを解説します。正しい知識を身につけ、つらい夜間痛や朝の痛みからの解放を目指しましょう。
当院では、腰椎すべり症をはじめとした整形外科疾患に対し、丁寧な診察とわかりやすい説明を心がけています。不安な症状がある方も安心してご相談いただけるよう、以下の記事で診察の流れや受付方法を詳しくまとめています。
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記事監修:川口 慎治
大室整形外科 脊椎・関節クリニック 医師
経歴:
徳島大学医学部卒業後、洛和会音羽病院に勤務
京都大学医学部整形外科学教室入局
学研都市病院脊椎脊髄センター勤務
2023年より 大室整形外科 脊椎・関節クリニック勤務
専門分野:脊椎・脊髄外科
資格:
日本専門医機構認定 整形外科専門医
日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医
日本脊椎脊髄病学会認定 脊椎脊髄外科指導医
日本脊椎脊髄病学会認定 脊椎脊髄外科専門医
腰椎すべり症の寝方で痛みが増強する理由
腰椎すべり症の寝方で痛みが増強する理由として、以下の2つが関係している傾向があります。
- 背骨を不安定にさせる反り腰
- 就寝中の無意識な寝返り
背骨を不安定にさせる反り腰
腰椎すべり症は、腰椎が前方に滑り出した状態であるため、神経の圧迫が強くなると、痛みやしびれが悪化する可能性があります。睡眠中に反り腰になりやすい原因は、寝方と寝具が関係しています。
うつ伏せで寝ると、体の重みでお腹がマットレスに沈み込むため、腰が反りやすいです。うつ伏せ寝は腰への負担を増やし、腰痛を高める可能性があります。マットレスがやわらかすぎると、お尻が深く沈むことで腰が反りやすくなるため、適度な硬さが必要です。
枕が高すぎると首が前に屈曲して背中のカーブが崩れ、無意識に腰が反りやすくなる場合があります。ご自身の寝姿勢や寝具が、腰に負担をかける反り腰の原因につながっていないか確認しましょう。
以下の記事では、腰椎すべり症の主な原因や、年代によって異なるリスク、治療法の選択肢をわかりやすく解説しています。
>>腰椎すべり症の原因と特徴!年代別リスクと治療法を解説
就寝中の無意識な寝返り
寝返りは圧力を分散させ、血液の流れを改善する役割があります。腰椎すべり症の方が就寝中に寝返りをすると、滑り出した腰椎に負担をかける可能性があります。注意が必要な寝返りは、上半身と下半身が別々のタイミングで動いたり、勢いよくひねったりする動きです。
神経圧迫が増強することで痛みで目が覚めたり、朝起きたときの痛みが強くなったりする場合があります。腰椎すべり症の方は、腰に負担をかけない睡眠環境を整えることが大切です。
夜間痛を軽減する寝方のポイント
腰椎すべり症による夜間の痛みを和らげるには、就寝時の姿勢と体の支え方が重要です。神経への負担を減らすための寝姿勢と、背骨のカーブを安定させる工夫について解説します。
神経圧迫を避ける寝姿勢
腰椎すべり症の痛みを和らげるには、腰に負担のかからない寝姿勢が重要です。睡眠中に神経を圧迫しやすい寝姿勢は、うつ伏せ寝です。うつ伏せは、お腹の重みで腰が反りやすくなり、痛みやしびれが増強する可能性があるため、避けることが推奨されます。
反り腰を避ける寝姿勢は、仰向け寝もしくは横向き寝がおすすめです。仰向け寝は背骨のカーブを保ちやすく、体の重みが均等に分散されやすいとされています。横向き寝は骨を少し丸める形になるため、腰の反りを防ぐ効果が期待できます。
ご自身で楽な姿勢を見つけ、負担を減らす工夫を取り入れることが大切です。
背骨カーブを安定させる姿勢づくり
背骨カーブを安定させる寝姿勢は、クッションやタオルの使用がおすすめです。仰向けに寝て、膝の下に丸めたバスタオルやクッション、枕などを置き、骨盤を少し後ろに傾けましょう。膝を軽く曲げると腰とマットレスの隙間が埋まり、反り腰の状態を補正できる可能性があります。
腰周りの筋肉の緊張がほぐれ、神経への圧迫も緩和される効果が期待できます。効果には個人差があるため、痛みが続く場合は医療機関にご相談ください。横向きで寝る場合は、両膝の間にクッションや抱き枕を挟みましょう。上の足が下に落ち込むことによる、骨盤のねじれを予防する効果が期待できます。
痛みを悪化させない寝返りと起き上がりのコツ
痛みを悪化させない寝返りの打ち方と、朝起きる際のスムーズな起き上がりのコツについて、以下を解説します。
- 体の負担を分散した寝返り方法
- 起き上がり前の準備運動
- 寝具別の起き上がり方法(ベッド・布団)
- 腰痛を和らげるストレッチ
体の負担を分散した寝返り方法
腰椎すべり症は、腰だけをねじると痛みが増強しやすいため、寝返りは体全体を一緒に動かします。寝返りは、体の負担を分散させることで痛みの悪化を予防する効果が期待できます。
仰向けの姿勢で息をゆっくり吐きながら、両膝をそろえた状態で横に倒します。両膝をそろえることが、腰をひねらないコツです。倒した膝の動きに合わせて腰、お腹、肩の順番で上半身を回転させます。勢いをつけず、体の重みで自然に転がりましょう。
起き上がり前の準備運動
起き上がる前は、ベッドの上で簡単な準備運動をしましょう。目覚めた後に勢いよく起き上がると、睡眠中に固まった筋肉や関節に急激な負荷がかかりやすくなります。急激な負担は、腰に痛みを引き起こす可能性があります。ベッド上での準備体操には以下を取り入れてみましょう。
- 足首の運動:仰向けのまま足首を10回ほど上下に動かす
- 膝の運動:両膝を立てそろえた状態で左右に倒す
- お腹の深呼吸:鼻から息を吸い口から長く息を吐きながらお腹をへこませる
足首の運動は、ふくらはぎの血流を促進し、全身の血の巡りを良くする効果が期待できます。膝の運動は腰の周りの筋肉をほぐせますが、痛みのない範囲で行いましょう。深呼吸を数回繰り返すと体がリラックスし、筋肉の緊張が和らぐ効果が期待できます。
起き上がり前の準備運動は、痛みを感じる場合は無理をせず、できる範囲で行ってください。
特に腰に不安がある方は、椎間板ヘルニアなどの疾患が隠れている可能性もあります。以下のページでは、腰椎椎間板ヘルニアの初期症状や受診の目安について詳しく解説しています。
>>腰椎椎間板ヘルニアの初期症状と受診の目安|原因や治療法も解説
寝具別の起き上がり方法(ベッド・布団)
起き上がりの際には、腰に負担をかけない動き方が重要です。ベッドから起き上がる場合は、以下の手順を意識してください。
- 楽な方の横向きになる
- ベッドの端から両足をそろえたまま、ゆっくり床に下ろす
- 下ろした足の重みを利用し、ベッドについている腕と手で体を支える
- ベッドの端に腰かけ、一呼吸おいてから立ち上がる
ベッドから起き上がる際に、上半身は前方に軽く曲げると腰への負担を軽減しやすくします。勢いはつけずに、ゆっくりとした動作が大切です。布団から起き上がる場合は、以下の手順を取り入れましょう。
- 両手で床を押して上半身を起こした四つん這い姿勢になる
- 四つん這いの状態から、片方の足を前に出して膝を立てる
- 立てた膝に両手をつき、体重をかけながら立つ
上半身を起こした四つん這い姿勢は、背骨をまっすぐに保ちやすく、腰への負担を軽減できる可能性があります。立ち上がる際は、近くの壁や安定した家具を支えにすると安全に行うことができます。どちらの場合も急がず、腰を丸めて腕の力を使うことが大切です。
腰痛を和らげるストレッチ
仕事で疲れた腰や、朝の体のこわばりを和らげるには、お尻や太もものストレッチをしましょう。お尻や太ももの裏の筋肉が硬いと、骨盤が引っ張られて反り腰の原因になる可能性があります。腰を強く反らすストレッチは症状を悪化させる可能性があるため、避けることが推奨されます。
お尻のストレッチは、以下の手順で進めましょう。
- 仰向けに寝て両膝を立てる
- 片膝を曲げ両手で抱える
- 息を吐きながらゆっくり胸に引き寄せる
- 20~30秒保つ
- ゆっくり元に戻し、反対側の足も行う
膝を胸に引き寄せるときは、お尻の筋肉が伸びるのを感じながらゆっくり行いましょう。太もも裏のストレッチは以下の手順で行います。
- 仰向けに寝て、片方の足の裏にタオルをかける
- タオルの両端を持ち、息を吐きながら足を天井方向に持ち上げる
- 太ももの裏が伸びる位置で20~30秒保つ
- ゆっくり元に戻し反対側も行う
足を天井方向に持ち上げる際に、膝は軽く曲がっていても大丈夫です。ストレッチは痛みやしびれを感じたらすぐに中止してください。勢いをつけずに、深呼吸を繰り返しリラックスして日々のセルフケアとして継続することが大切です。
腰痛すべり症を悪化させない寝具選び
体に合わない寝具は無意識のうちに腰へ負担をかけ、症状を悪化させる可能性があります。ご自身の体に適した寝具を選ぶポイントは、以下のとおりです。
- 低反発マットレスのメリット・デメリット
- 腰椎すべり症に適した寝具の硬さ
- 寝姿勢を安定させる抱き枕の活用
- 現在の寝具の適正チェック
低反発マットレスのメリット・デメリット
低反発マットレスは体の形に合わせて沈み込み、包み込む特徴があります。体圧を分散させる働きは、お尻や肩甲骨などへの圧力を和らげ、血液の流れを改善する効果が期待できます。背骨の自然なカーブにフィットしやすく、筋肉の緊張をほぐしやすいです。
柔らかすぎる低反発マットレスは、お尻部分が深く沈み込み、背骨が曲がりやすくなる傾向があります。背骨が曲がった姿勢は腰への負担が増え、症状を悪化させやすいです。深く沈み込むと体がマットレスに固定されることで、寝返りがしにくくなる場合があります。
低反発マットレスのメリット・デメリットは、以下の表を参考にしてください。
| 項目 | メリット | デメリット |
| 特徴 | ・体の形に沿って沈む ・体にかかる圧力を分散させる |
・体が沈み込みやすい ・寝返りがしにくい場合がある |
| 腰への影響 | ・背骨の自然なカーブを保ちやすい ・筋肉の緊張を和らげる効果が期待できる |
・反り腰を悪化させる可能性がある ・寝返りが減り、血行不良や筋肉の硬直を引き起こす可能性がある |
低反発マットレスを購入する際は実際に横になり、腰が沈みやスムーズな寝返りなどを確認することが大切です。
腰椎すべり症に適した寝具の硬さ
マットレスの硬さは、腰椎すべり症の痛みを管理するうえで重要です。腰椎すべり症の方は適度な硬さがあり、寝たときに背骨のカーブを保てるマットレスが推奨されます。仰向けになったときに、腰とマットレスの間に手のひらが、無理なく入る程度の隙間が理想です。
以下のチェックリストで、ご自身の寝具が適しているかご確認ください。
- 仰向けに寝たとき、腰が沈みすぎて体が屈曲している
- 腰とマットレスの間に、こぶしが入るほどの隙間ができている
- 朝起きたときに、いつも腰や背中に痛みやこわばりを感じる
- 寝返りがスムーズにできていない
いずれかに当てはまる場合は、寝具を一度見直すのをおすすめします。マットレスは体を支えるために、厚みが15cm以上あるものを選びましょう。
寝姿勢を安定させる抱き枕の活用
楽な寝姿勢を朝まで保つために、抱き枕やクッションを活用しましょう。抱き枕を抱える姿勢で寝ると、腕と足を枕に乗せることができます。上半身と下半身のねじれを防ぎ、背骨がまっすぐに保ちやすくなります。適切な横向き姿勢は痛みを和らげることが報告されており、抱き枕は姿勢を安定させるのに役立つ便利なアイテムです。
仰向けで寝る場合は、膝の下に丸めたバスタオルやクッションを入れましょう。膝が軽く曲がることで腰椎の反りが自然に和らぎ、リラックスできます。抱き枕やクッションを使うことで睡眠中の無意識な動きから腰を守り、朝の痛みを軽くすることが期待できます。
現在の寝具の適正チェック
体に適した寝具でも、長年使用すると劣化します。腰椎すべり症の症状を悪化させないためには、定期的に寝具の状態をチェックする習慣が大切です。マットレスの寿命は素材や品質で変わりますが、5~10年が交換の目安です。年数だけでなく、以下のサインが見られたら交換を検討しましょう。
- 見た目の変化:マットレスの真ん中が凹んでいる
- 寝心地の変化:以前より体が沈み、スプリングが体にあたる
- 体の変化:朝起きたときの腰痛や体の痛みが強くなる
- 寝具の音:寝返りでスプリングがきしむ音がする
マットレスのへたりは体を支える機能を低下させ、寝姿勢を保つことが難しくなる場合があります。半年に一度はマットレスを裏返したり、上下を入れ替えたりすることで、特定の部分だけがへたるのを防ぎ、長持ちします。大切な腰を守るため、今お使いの寝具の状態を一度見直してみましょう。
以下の記事では、腰椎すべり症の悪化を防ぐために、日常生活で避けるべき行動や注意点を詳しく解説しています。知らずにやっている行動が症状を悪化させるリスクもあるため、ぜひご確認ください。
>>腰椎すべり症でやってはいけないこと!悪化を防ぐ対策や生活のポイント
まとめ
朝起きたときの痛みを軽減させるには、睡眠中の無意識な腰を反らしたり、ひねったりする動きを減らすことが大切です。個人差がありますが、仰向けなら膝の下、横向きなら膝の間にクッションを挟むだけで、腰への負担軽減が期待されます。
寝返りや起き上がりの動作は、体全体を一体で動かすことを意識するだけで、痛みの悪化を防ぐ可能性があります。ご自身の体に適した寝具を選び、長持ちさせるために定期的なメンテナンスが推奨されます。今日からできることを試してスムーズな起床を迎えましょう。
当院の受診をご希望の方は、まずはお電話にてご予約ください。詳しいアクセス方法は、当院の公式サイトをご覧ください。
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参考文献
Yashita Saini, Anushree Rai, Siddhartha Sen. Relationship Between Sleep Posture and Low Back Pain: A Systematic Review. Musculoskeletal Care, 2025, 23巻, 2号, p.e70114

