当院の手術
[ 脊椎疾患(頚椎・胸椎) ]

頚椎・胸椎疾患に対する専門的医療

頭蓋骨の真下から尾骨(びこつ)に至るまでのいわゆる“背骨”の部分である脊椎。

頸椎は背骨の中でも一番頭側にあり、重たい頭を支えています。
また、脊髄を保護する重要な役割があります。

頸椎と腰椎の間にある胸椎は12個の骨からなり、後弯(後方凸の曲がり)を呈し12対の肋骨と連なっています。
肺や心臓、肝臓、横隔膜など、損傷すると即致命的になる臓器を保護する役割があります。

脊椎の主な機能

  • 脊髄などの大切な神経を保護する
  • 上半身を支える
  • 上半身を動かす
  • 肋骨との組み合わせで内臓を保護する

人の身体の、
特に運動器に関わる
重要部位の専門的医療を
行っています

首・背中の主な疾患

頸椎・胸椎は脊髄に最も影響を及ぼす部位であり、より慎重な治療計画が必要です。
症状は多岐にわたり、直接的な首の痛みだけでなく、肩こり、手足のしびれ、脱力など些細な違和感から疾患の発見に至るケースもあります。

頸椎椎間板ヘルニア


頚椎椎間板ヘルニアも腰椎の場合と同じく、椎間板への圧力が主な原因となります。非常に可動性が大きい部位であること、構造上腰椎よりも外からの負担に弱いことなどから、腰椎とは違い、重いものを持ったりすることが直接の負担とはなりにくいですが、姿勢や外力の影響を大きく受けると言えます。その他、喫煙や遺伝なども発症に関わると言われています。

軽度の場合、首の痛み、肩こり、軽い手のしびれなどを訴えます。徐々に首を反らす動きが制限されるようになり、腕や手に痛みが走るようになります。重症化してくると手や腕の感覚が無くなったり、握力を始め筋力が低下してきます。手先を使う作業が上手くできなくなり、場合によっては下半身にも症状が出現します。あとは膀胱直腸障害と言って尿や便が出にくくなったり、逆に頻尿や失禁がみられることもあります。

頸椎症性脊髄症、頸椎症性神経根症

頸椎の加齢による椎間板の変性(老化現象)や靭帯が厚く硬くなることなどにより、頚部の痛みなどの症状が発現したものを総称して、頸椎症と呼んでいます。

神経根や脊髄が圧迫され、頸や肩甲骨付近の痛みや、頸肩から腕や手にかけて痛みやしびれを生じることもあります。障害される部位により、頚椎症性脊髄症、頚椎症性神経根症と呼ばれます。また両者を合併することもあります。

頸椎症性脊髄症は、加齢により椎間板の変性が進み、骨がとげ状に大きくなって骨棘を形成することや、靭帯が 厚く硬くなることで、脊柱管にある脊髄が圧迫され、四肢に痛みやしびれ、運動障害を生じる疾患です。頚椎症性神経根症は、頸椎の変性により、椎間孔の狭窄が生じ、神経根が圧迫され、主に片側に痛みやしびれが生じる疾患です。

頸椎椎間板ヘルニア、頸椎症性脊髄症、頸椎症性神経根症の手術方法

手術 麻酔 入院日数 保険適用 有効率
椎弓切除術 全身麻酔 5~7泊 有り
椎弓形成術 全身麻酔 5~7泊 有り
前方固定術 全身麻酔 3~5泊 有り
後方固定術 全身麻酔 5~7泊 有り

椎弓形成術

 

椎弓形成術は頚椎・胸椎の手術のうち、最も安全性に定評があるため、数多く行われています。日本で開発された手術法で、頸の後ろ側から手術を行い、脊柱管を形作っている椎弓を、後方へ開いて脊柱管を広げる手術です。
この手術での出血は通常100cc以下と少なく、極度な貧血がない限り輸血を行わずに済みます。

前方固定術

前頚部に斜めあるいは横方向に皮膚を切開し、気管や食道などの臓器や血管などをよけながら、前方から椎間板 や骨棘などの圧迫因子を除去して、脊髄や神経根の圧迫を解除する手術法です。

後方の筋肉組織に損傷を与えないため、術後の軸性疼痛(後頚部から肩甲部にかけての痛み)が少ないことが特徴です。近年は、椎間板や骨を切除した部分に、椎体間ケージと呼ばれる箱型の金属を使用することで、腰骨からの採骨が不要となり手術時間が短縮できるようになりました。術後の採骨部痛(骨をとる部分の痛み)も心配いりません。

後方固定術

頸椎の後方から切開を加えて脊椎にアプローチし、金属製スクリューなどで頚椎を固定する手術法です。
広い範囲で脊椎の安定化、固定が必要な時に実施します。

脊髄や重要な血管をよけながら行う難易度の高い手術ですので、手術前に特殊な検査で十分に評価し、手術中にも神経モニタリング装置を用いながら慎重に手術を行います。

手術実績 医師紹介

リハビリについて

頚椎/胸椎/腰椎 後縦靱帯骨化症

背骨の中を縦に走る後縦靭帯が骨に変化(骨化)することで、神経が通る脊柱管が狭くなり、圧迫されて感覚障害や運動障害などの神経症状が引き起こされる病気です。症状が重度になると日常生活に障害が出て、介助を要することもあります。

骨化する脊椎の部位によって頚椎後縦靱帯骨化症、胸椎後縦靱帯骨化症、腰椎後縦靱帯骨化症に分類されます。指定難病の一つ(告示番号:69)で、有病率は平均で3%程度です。

もっとも、骨化があっても全員が症状を生じるわけではありません。中年以降、特に50歳前後の男性に発症することが多く、糖尿病や肥満傾向のある人にも発生頻度が高いのが特徴です。また、遺伝傾向もみられる疾患です。

また、黄色靱帯が骨化する疾患、黄色靱帯骨化症(指定難病 告示番号:68)と合併することが多く、主に胸腰移行部に発生します。
脊柱管内靱帯骨化の一連の疾患と考えられていますが、単独で発症することもあります。

後縦靱帯骨化症  黄色靱帯骨化症

後縦靱帯骨化症の手術方法

手術 麻酔 入院日数 保険適用 有効率
開窓術(低侵襲除圧) + 後方固定術 全身麻酔 5~7泊 有り
後縦靱帯骨化症手術 全身麻酔 5~7泊 有り

後縦靱帯骨化症手術

頸椎、胸椎、腰椎の1又は2以上の椎間に係る後縦靱帯骨化症を切除する手術です。頚椎の場合は当該部位以外のところも同時に取り除く、前方又は後方から病巣にアプローチします。
ただし病症に応じた術式の選択が必要になります。

手術実績 医師紹介

リハビリについて

その他、疾患に合わせた様々な手術を行っています。

他医療関係者の方々へ

当院では地域の診療所や病院との連携を大切にいたしております。
手術前、手術後とも、患者さんにとっては自宅近くのかかりつけクリニックと連携し、
治療を行うことが最善と考えます。

ご紹介いただく場合は、診察予約をさせていただきます当院 地域連携室 までご連絡ください。

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