当院の手術
[ 脊椎疾患(腰椎) ]

腰椎疾患に対する専門的医療

頭蓋骨の真下から尾骨(びこつ)に至るまでのいわゆる“背骨”の部分である脊椎。

腰椎は、重い上半身を支える役割を担い、さらに身体を前後・左右へ大きく曲げたり捻ったりする
柔軟性の必要な日常動作や運動に欠かせない部位です。
ゆえに、大きく負担がかかる部分でもあり、症状が現れやすく疾患を抱える患者さんも多くなります。

整形外科で扱う疾患のなかでは最も一般的です。

脊椎の主な機能

  • 脊髄などの大切な神経を保護する
  • 上半身を支える
  • 上半身を動かす
  • 肋骨との組み合わせで内臓を保護する

人の身体の、
特に運動器に関わる
重要部位の専門的医療を
行っています

腰の主な疾患

脊椎疾患の内訳で最も多いのが腰椎疾患です。
腰背部痛、脊椎変形、下肢のしびれや痛み、下肢の筋力低下、歩行障害、膀胱直腸障害(排尿障害や便秘)などが現れます。

腰椎椎間板ヘルニア

椎間板は脊椎の骨と骨の間にあり、クッションの役割を果たします。加齢や重いものを持ち上げたり悪い姿勢での作業などにより背骨に負担をかけると、椎間板が外に飛び出したり、柔軟性が失われたり、変性し断裂すると、神経を圧迫することがあります。
これにより引き起こるのが椎間板ヘルニアです。

場合によっては激痛がはしることもありますが、自覚症状は様々です。
腰や臀部が痛んだり、足に広くしびれや痛みが出たり、足に力が入りにくくなることがあります。

重度の場合には歩行困難になることもあります。反対に、腰や背中がひどく凝ったり便秘がちになるなど、軽度の症状にとどまっていても椎間板ヘルニアを発症している場合があります。また、喫煙により症状が起こりやすくなると言われています。

腰椎椎間板ヘルニアの手術方法

手術 麻酔 入院日数 保険適用 有効率
FED/PED (内視鏡下腰椎椎間板摘出術) 全身麻酔 1~2泊 有り ≒90% 7mm
MED (内視鏡下腰椎椎間板摘出術) 全身麻酔 1~2泊 有り >90% 18mm
MD (顕微鏡下腰椎椎間板摘出術) 全身麻酔 1~2泊 有り

FED/PED
(内視鏡下腰椎椎間板摘出術)

腰椎椎間板ヘルニアの手術方法で、うつ伏せ、あるいは横向けで直径7mmほどの微小内視鏡を使用して行います。最小侵襲手術、すなわち患者さんのお身体への負担が最小限で済む治療です。
背中と体の側面の2種のアプローチ方法があり、背中の場合は骨を削る必要が最小限で済みます。
側面からの場合はさらに骨や筋肉の影響が少ないため、削ることなく直接ヘルニア部分手術ができ、より安全に行えます。

傷痕が目立ちにくく(7mm弱)、術後の痛みが軽いため、退院が早く(1~2泊)日常生活や仕事への早期復帰が可能です。背骨に付いている筋肉を剥がすことが最小限ですむため、脊柱への負担も非常に少ないです。

MED (内視鏡下腰椎椎間板摘出術)

内視鏡を用いた腰椎椎間板ヘルニアの手術方法で、1995年にアメリカで開発されました。
従来の切開手術は50mm以上でしたが、内視鏡下手術ではわずか18mm程度の切開で済むことから、短い期間で社会復帰が可能です。
小切開し、16mmほどの筒を挿入、穴を広げながら内視鏡を挿入。モニターで拡大して見ながら、神経をよけて髄核を摘出します。

傷痕が小さく(18mm程度)、術後の痛みが少いため、回復も早い(2~3泊)です。手術時間は30分〜1時間程度で済みます。

手術実績 医師紹介

リハビリについて

腰部脊柱管狭窄症

加齢、労働、あるいは背骨の病気による影響で変形した椎間板と、背骨や椎間関節から突出した骨などにより、神経が圧迫される病気で、椎間板ヘルニアと比べ中高年に発症することが多いと言われています。

脊柱管は背骨、椎間板、関節、黄色靱帯などで囲まれた脊髄の神経が通るトンネルです。年をとると背骨が変形したり、椎間板が膨らんだり、黄色靱帯が厚くなって神経の通る脊柱管を狭くなって(狭窄)、それによって神経が圧迫を受け、神経の血流が低下して脊柱管狭窄症が発症します。

背骨を後ろに反らすと脊柱管が狭くなり、前に曲げると広がるので、間歇性跛行が起こります。

腰部脊柱管狭窄症の手術方法

手術 麻酔 入院日数 保険適用 有効率
開窓術(低侵襲除圧) 全身麻酔 3~5泊 有り
MEL 内視鏡下腰椎椎弓切除術 全身麻酔 2~3泊 有り
XLIF 腰椎側方椎体間固定術 全身麻酔 5~7泊 有り

開窓術(低侵襲除圧)

60歳以上の高齢者によくみられる腰部脊柱管狭窄症の手術には大きく分けて、神経の圧迫を取り除く「除圧術」と、曲がっているものを治す「再建術」があり、開窓術は除圧術の一つです。

背中から皮膚を切開し、神経圧迫の原因となっている、椎間関節内側部や黄色靭帯、椎弓の一部分を切除します。神経の圧迫にかかわる部分だけを窓を開けるように削り、除圧を行うのでこの名前がつきました。

MEL 内視鏡下腰椎椎弓切除術

内視鏡を使用しながら、狭くなった脊柱管を広げる手術方法で、単椎間の場合に用いられます。

内視鏡下手術では創の大きさわずか10mm強程度で、ほとんどの組織を温存できるため、入院期間は数日程度と短く早期社会復帰が可能です。
また、創部感染率は内視鏡を用いない切開手術に比べて非常に低く、低侵襲手術を代表する治療法です。

多椎間に及ぶ場合には開窓術(低侵襲除圧)、除圧術 MILD法が用いられます。

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リハビリについて

腰椎すべり症

通常は簡単にずれない椎間関節が壊れたり、椎間板の異常などにより、骨がずれてしまうことがあります。

原因にいくつかタイプがある中で、実際に手術が必要な患者さんの多くは、変性すべり症になっています。特に女性に多く、女性ホルモン減少による骨粗しょう症の進行によって起こるのではないかと言われています。

腰椎すべり症の手術方法

手術 麻酔 入院日数 保険適用 有効率
XLIF 腰椎側方椎体間固定術 全身麻酔 5~7泊 有り
PLIF/TLIF 後方侵入腰椎椎体間固定術 全身麻酔 5~7泊 有り

XLIF (腰椎側方椎体間固定術)

損傷している椎間板を取り除き、骨を器具で固定し、椎体間の骨と骨の間が自然にくっつくようにして、脊椎の安定性を高める手術方法です。
側腹部に30mmほどの皮膚切開(皮切)で手術を行い、痛んだ椎間板のかわりとなる「ケージ」を挿入します。
背中側の筋や神経に触れず、小さな切開で済むため、手術の傷による術後の痛みが軽減できます。
手術後は硬いコルセットを装着し、手術翌日より起立・歩行を開始します。

大きなケージが設置可能で、術後の安定性が増し、骨がくっつくのが早まります。

固定術の中でも、矯正力が強く抜群の効果を発揮するため、背骨の曲がった老人の背中がまっすぐに近づきます。

PLIF/TLIF (後方進入腰椎椎体間固定術)

図:PLIF

後方から進入し、左右両側または片側の椎間関節を切除して椎間板を取り除き、その後に両側または片側からケージを入れて椎体を固定する術式です。
主に、腰椎変性分離すべり症や腰椎変性側弯症などで矯正が必要な場合などに行なわれる手術です。

不安定な腰椎に対する固定、また変性側弯症・後弯症の矯正等が可能です。

手術実績 医師紹介

リハビリについて

腰椎変性側弯症(成人脊柱変形)

加齢に伴い、椎間板や椎間関節の老化変性によって腰椎が大きく側弯する病気です。

姿勢異常が生じ、頑固な腰殿部痛や下肢の神経痛などを引き起こし、立位、歩行が困難となります。また、逆流性食道炎などの消化器症状を呈することもあります。

腰椎変性側弯症(成人脊柱変形)の手術方法

手術 麻酔 入院日数 保険適用 有効率
XLIF,PLIF + 後方椎体固定 全身麻酔 7~10泊 有り

腰椎変性側弯症(成人脊柱変形)の手術

損傷している椎間板を取り除き、痛んだ椎間板の代わりとなる「ケージ」を挿入する手術(XLIF,PLIF)を行った後、スクリューやプレート等を使用し、さらに脊椎の安定性を高める脊椎固定(インストゥルメンテーション)手術を後方アプローチにて行います。

骨盤辺りから、胸の方まで固定し姿勢異常を矯正するため、脊椎手術の中で最も大掛かりな手術の一つとなります。

手術実績 医師紹介

リハビリについて

骨粗鬆症性椎体骨折

骨粗鬆症で骨の強度が低下しもろくなれば、容易に骨折を起こしてしまいます。
それが骨粗鬆症性椎体骨折です。

骨折は胸椎の下方と腰椎の上方で起こりやすく、椎体がつぶれたり、骨片がはじかれて後方に飛び出し、強い痛みを伴います。 尻持ちをついたり、何かにつまずいて転ぶなどといった軽微な外力が加わることで発症する場合があります。

骨粗鬆症性椎体骨折の手術方法

手術 麻酔 入院日数 保険適用 有効率
経皮的椎体形成術 + 脊椎固定 全身麻酔 5~7泊 有り
BKP 経皮的椎体形成術 全身麻酔 1~2泊 有り
X-core 椎体置換術 全身麻酔 5~7泊 有り

BKP 経皮的椎体形成術

骨粗鬆症が原因となる椎体骨折に対して行われている、低侵襲の経皮的椎体形成術の1つです。皮膚から針を挿入し、骨折した骨の中で風船(Balloon)を膨らせた後、セメントを充填して曲がった背骨を矯正します(後弯形成Kypho-Plasty)。

長期間の入院やコルセット治療を行う必要がないため、体への負担を最小限に抑えることができます。

X-core 椎体置換術

前方からアプローチし、病変のある椎体を切除して人工の椎体を設置し、プレートやスクリューで固定する手術(インストゥルメンテーション)です。

手術実績 医師紹介

リハビリについて

その他、疾患に合わせた様々な手術を行っています。

他医療関係者の方々へ

当院では地域の診療所や病院との連携を大切にいたしております。
手術前、手術後とも、患者さんにとっては自宅近くのかかりつけクリニックと連携し、
治療を行うことが最善と考えます。

ご紹介いただく場合は、診察予約をさせていただきます当院 地域連携室 までご連絡ください。

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