コラム

頸椎椎間板ヘルニアの症状と治療法!首に負担をかける生活習慣や対策を解説

首の痛みや腕のしびれ、肩こりが続く場合は、頸椎椎間板ヘルニアの可能性があります。頸椎椎間板ヘルニアは、首の骨と骨の間にある椎間板が飛び出し、神経を圧迫することで発症する疾患です。初期は首や肩の局所的な痛みが現れ、重症化すると腕のしびれや麻痺、頭痛やめまい、排尿・排便障害などを引き起こすこともあります。

早期発見と適切な治療により、多くの場合は保存療法での改善が期待できます。この記事では、頸椎椎間板ヘルニアの代表的な症状や治療法に加え、首に負担をかける生活習慣と対策を詳しく解説します。首の不調を放置せず、健康で快適な生活を送るために役立ててください。

当院では、頚椎椎間板ヘルニアをはじめとした整形外科疾患に対し、丁寧な診察とわかりやすい説明を心がけています。不安な症状がある方も安心してご相談いただけるよう、以下の記事で診察の流れや受付方法を詳しくまとめています。
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頸椎椎間板ヘルニアの症状

頸椎椎間板ヘルニアの代表的な症状は、以下のとおりです。

  • 首の痛み
  • 肩や肩甲骨周囲の痛み
  • 腕や手のしびれ・痛み
  • 頭痛・吐き気・めまい
  • 運動麻痺・感覚障害

首の痛み

頸椎椎間板ヘルニアで最も多くみられるのが首の痛みです。健康な状態では滑らかに動く首ですが、発症により後ろ側の筋肉が緊張し、痛みを引き起こします。痛みの程度や広がり方には個人差があります。特定の方向への動作や長時間の同一姿勢、くしゃみや咳でも痛みが悪化する場合があります。

肩や肩甲骨周囲の痛み

肩や肩甲骨周囲にも痛みが及ぶことがあります。飛び出した椎間板が神経を圧迫し、支配領域に症状が波及するためです。痛みは鈍痛から鋭い痛みまで幅があり、首の動きと連動して変化します。腕の動作や持ち上げ動作によっても悪化することがあります。

腕や手のしびれ・痛み

頸椎から分岐する神経は肩から腕、手へとつながっており、神経が圧迫されると片側の腕や手にしびれや痛みが現れます。チクチク、ジンジンとした感覚が典型的で、筋力低下により細かい作業が難しくなることもあります。進行すると、ボタンをかけることや箸を使うといった動作にも支障が出るため、早期対応が重要です。

以下の記事では、頚椎椎間板ヘルニアによる痛みやしびれを軽減するための具体的な対処法や注意点について詳しく解説しています。ご自宅でできるケア方法や医療機関を受診する際のポイントを知りたい方はぜひご覧ください。
>>頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法!効果が期待できる対処法と注意点

頭痛・吐き気・めまい

椎間板が血管を圧迫して脳への血流が不足すると、頭痛や吐き気、めまいが起こることがあります。自律神経の乱れも関与していると考えられています。症状は他の症状と併発することが多いですが、単独で現れる場合もあります。めまいには回転性や浮動感など、さまざまなタイプがあります。

運動麻痺・感覚障害

重症化すると脊髄が圧迫され、運動麻痺や感覚障害が現れる可能性があります。手足の筋力が低下し、動かしにくくなるほか、感覚が鈍くなる、または消失することもあります。症状は片側だけでなく、両側に及ぶ場合もあり、排尿・排便障害などの自律神経症状を伴うこともあります。

初期には保存療法が中心となりますが、症状の進行度によって治療内容は異なります。早期の診断と治療が重要です。

頸椎椎間板ヘルニアの治療法

頸椎椎間板ヘルニアの治療法は、以下のとおりです。

  • 薬物療法
  • 理学療法
  • 手術療法

薬物療法

薬物療法は、痛みや炎症を抑え、神経の働きを助けることで症状の軽減を図る治療法です。主に使用される薬は以下のとおりです。

  • 炎症を抑えて痛みを軽減する消炎鎮痛薬
  • 神経の働きを調整し、しびれや痛みを緩和する神経の薬
  • 筋肉の緊張を緩める筋弛緩薬

薬は症状や痛みの程度に応じて、医師が適切な種類と量を処方します。薬の効果や副作用には個人差があるため、自己判断で中止や増減はせず、必ず医師の指示に従いましょう。

理学療法

理学療法は、運動や物理療法を通じて痛みやしびれを緩和し、筋力や柔軟性の改善を目指す治療法です。主な手法は以下のとおりです。

  • 牽引療法:首を引っ張ることで椎間板への圧力を軽減し、症状を緩和する
  • 温熱療法:患部を温めて血行を促進し、筋肉の緊張をほぐす
  • 電気療法:微弱電流により痛みの緩和を図る
  • 運動療法:ストレッチや筋力トレーニングで筋肉を強化し、再発予防にもつなげる
  • マッサージ:筋肉のこわばりをほぐし、血流を改善する

理学療法は状態に応じて組み合わせて実施します。効果的な治療のためには、医師や理学療法士との連携が重要です。

手術療法

保存療法を数か月続けても効果が見られない場合や、神経麻痺が進行している場合には手術療法が検討されます。代表的な手術療法は以下の2つです。

  • 頸椎椎間板ヘルニア摘出術
  • 人工椎間板置換術

頸椎椎間板ヘルニア摘出術は、顕微鏡や内視鏡を用いて飛び出した椎間板を取り除き、神経の圧迫を解消する方法です。後方椎間孔拡大術などがあり、側方椎間板ヘルニアに適応されます。人工椎間板置換術は、損傷した椎間板を人工椎間板に置き換える方法です。研究では、首の可動性を保ちやすいという利点があり、近年注目されています。

複数の手術療法があり、いずれも術後の成績はおおむね良好で、合併症の発生率も比較的低いと報告されています。どの手術療法が適切かは、症状の程度や全身状態、年齢、生活スタイルなどを考慮して決定します。手術にはリスクや合併症が伴うため、事前に十分な説明を受け、納得のうえで選択することが大切です。

首に負担をかける生活習慣

首に負担をかける主な生活習慣は、以下のとおりです。

  • 長時間のスマートフォン操作
  • 体に合わない寝具の使用
  • 慢性的な筋肉疲労

毎日を快適に過ごすためにも、ご自身の生活習慣を一緒に見直してみましょう。

長時間のスマートフォン操作

スマートフォンの長時間使用は、頸椎椎間板ヘルニアのリスクを高める要因です。操作時に首を前に傾ける姿勢が続くと「ストレートネック」と呼ばれる状態になりやすくなります。本来カーブを描いている頸椎が真っ直ぐになり、椎間板や神経への負担が増加します。

首を30度傾けると約18kg、60度傾けると約27kgもの負荷が頸椎にかかると報告されており、大きな負担となります。頸椎椎間板ヘルニアを発症している場合は、症状の悪化につながります。

体に合わない寝具の使用

就寝中は長時間同じ姿勢を保つため、寝具が体に合っていないと頸椎に負担がかかりやすくなります。特に枕の高さや硬さが適切でないと、頸椎の自然なカーブが保てず、首や肩の痛みやこりの原因になります。以下のような寝具がリスクを高めます。

  • 高すぎる、または低すぎる枕
  • 柔らかすぎて沈み込む枕
  • 硬すぎて圧力が集中する枕

自分に合った枕を使用することで、頸椎への負担を軽減し、睡眠の質を向上させることが可能です。

慢性的な筋肉疲労

デスクワークや長時間の運転などで同じ姿勢を続けると、首や肩の筋肉が緊張し、慢性的な疲労につながります。血行不良や筋肉の硬直が起こり、頸椎への負担が増加します。慢性的な筋肉疲労を予防するための対策は以下のとおりです。

  • 30分〜1時間ごとに休憩し、軽いストレッチを行う
  • 正しい姿勢を意識し、椅子や机、モニターの高さを調整する
  • 入浴や温湿布などで体を温め、血行を促進する
  • 十分な睡眠を確保し、疲労を回復する

頸椎椎間板ヘルニアの5つの対策

日常生活でできる頸椎椎間板ヘルニアの対策について、以下の5つを解説します。

  • ストレートネックを改善する
  • 枕の高さを調整する
  • デスクワーク時の姿勢に気をつける
  • ストレッチや軽い運動を取り入れる
  • 適度に休憩する

ストレートネックを改善する

ストレートネックを予防・改善するには、首への負担を減らす姿勢が重要です。以下を意識しましょう。

  • パソコン作業では、画面を目の高さに合わせ背筋を伸ばし、顎を引いた姿勢を保つ
  • スマートフォンは、目の高さまで持ち上げて使用する
  • 15〜20分ごとに休憩を取り、首や肩のストレッチを行う
  • 肘を机に置いてスマートフォンやパソコンを操作し、首を支える

枕の高さを調整する

枕の高さが適切でないと、頸椎への負担が増え、症状の悪化につながる可能性があります。適切な枕は、頸椎への負担を軽減し、睡眠の質を向上させます。以下のポイントに注意しましょう。

  • 仰向けで寝たときに、頸椎が自然なカーブを保てる高さに調整する
  • 横向きの場合は、肩幅に合わせて高さを調整する
  • 柔らかすぎる枕は避け、適度な弾力で首を支える素材を選ぶ

デスクワーク時の姿勢に気をつける

デスクワークを行う際は、正しい姿勢を保つことで首や肩への負担を軽減できます。以下の点を意識しましょう。

  • 椅子に深く腰掛け、背筋を伸ばし、顎を引いた姿勢を保つ
  • モニターは目線よりやや下に設置する
  • キーボードとマウスは体に近い位置に配置する
  • 1時間ごとに立ち上がり、ストレッチや体操を行う

ストレッチや軽い運動を取り入れる

適度な運動は、頸椎椎間板ヘルニアの予防と改善につながります。首や肩まわりのストレッチは、筋肉の緊張を和らげ、血行を促進します。ウォーキングや水泳などの軽い運動には、筋力を強化し、頸椎への負担を軽減する効果が期待できます。無理のない範囲で毎日継続して行うことが大切です。

適度に休憩する

同じ姿勢を続けることは、頸椎への大きな負担となります。デスクワークやスマートフォンの使用中は、適度に休憩を取りましょう。休憩中は、首や肩を動かしたり、軽いストレッチを行ったり、遠くを見て目を休ませることが効果的です。こまめな休憩は、頸椎椎間板ヘルニアの予防だけでなく、集中力の維持にも役立ちます。

まとめ

長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用、合わない枕の使用など、日常生活の習慣が頸椎椎間板ヘルニアの発症要因となる場合があります。症状が進行すると、手術が必要になることもありますが、多くは薬物療法や理学療法、生活習慣の見直しにより改善が期待できます。

首の不調を感じた際は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を開始することが大切です。症状の悪化を防ぎ、健康で快適な日常を維持するためにも、できることから取り組んでいきましょう。

以下の記事では、頚椎椎間板ヘルニアの代表的な症状や原因、治療法について詳しく解説しています。初期症状の見分け方や放置によるリスクも紹介しているので、不安がある方はぜひ参考にしてください。
>>【首や肩の痛みは要注意】頚椎椎間板ヘルニアの症状・原因・治療法を解説

参考文献